怒涛のトークの果て、私たちはラジオに愛を聞く そこ☆あに『波よ聞いてくれ』特集まとめ

今週は、先日最終回を迎えた『波よ聞いてくれ』特集です。一体どこへ行くんだこの物語は…と思わせる、方向の定まらない山あり谷ありがしばらく続いていましたが、最終回は何だか希望の持てるいい話に。ラジオ文化に触れた経験のある人にとっては、良さを思い出させてくれる部分もありました。いやでも、なんかダマされてる気も…。

そこあに「波よ聞いてくれ」特集 #640
「そこ☆あに」640回目は『波よ聞いてくれ』特集です。 原作は、沙村広明による漫画。「月刊アフタヌーン」にて、2014年から連載開始。現在7巻まで発売中。TVアニメ版はサンライズ制作により2020年4月より放送。 「札幌在住、スープカレー屋...

■一体何が始まったの…?! 1話冒頭から強すぎた
くむ「1話からやってくれましたよね」
那瀬「まったくわからん! という感じでしたね、1話見たときは」
くむ「なんだこりゃ? ていうね(笑)」
那瀬「最初は、本当にあそこから中継していると思いましたから」
くむ「あれ、ズルですよね、アニメの嘘だから。ヒロインの鼓田ミナレが、めっちゃスゴいキャラじゃないですか。強キャラというのか、なんというか。声優の杉山里帆さんもすごい。あまりアニメには出ていない方なんですよね」
那瀬「そうですね、どちらかというと洋画とか、吹き替えの方ですね」
くむ「お、すごいのきたなって思いましたよ。まず台本どうなってるの??だよね」
米林「ほぼほぼミナレのセリフ、みたいな」
くむ「あれ、全部練習して行くんでしょ。すごいなあと思いますけど。杉山さんて北海道出身なんですね。もう、まさにこの役を取るべくして声優になったんじゃないかという感じもするし。この人だったからこそミナレはやれたんじゃないのと、思わせたのが勝ちだったね」
那瀬「うん。ミナレってほんとダメな女で。でもそのダメさがちゃんとオモロいやつになってるって、大事じゃないですか。深刻になりすぎない良さとかね。ホラーかと思っていたら彼女がギャグにしてくれる、みたいなところもあるし」
米林「とっても自分に都合のいいポジティブさを持っているところが面白いですよね」
那瀬「いいよね〜。そういうところがクズなんだけど、元気をくれるクズだよね」
くむ「この作品に出てくるキャラクターって、何らかの問題を抱えている人が多いよね。完璧な人たちばかりでない。実際そうじゃない?生きているとさ。という人たちの中での、ラジオのプロフェッショナル、仕事としてはプロフェッショナルな部分がたくさん見えて。大人のアニメだなって思って見れるのが良かったですね」
那瀬「ほんと、締めるとこ締めりゃいいんだよ!って作品全体で言ってくれてるみたいなのが、勇気づけられるし。逆に言うと、締めてないとこもホントに多いというのが、遊びがありますよね」

■変わらない安心感、深夜の好き勝手感…ラジオの良さが伝わる
くむ「ラジオの良さって、毎週なんとなく同じことを続けてくれていることもあると思うんですよ」
那瀬「まあそうですね。朝とか昼とかはまさにそうだと思うし」
くむ「そう、最終回で何となく話が出ていましたけど、いつも聞いている声の人が、いつもと同じように語りかけてくれることが、安心感につながる、みたいなことが。実際地震があったり、大変なときがあったわけじゃないですか、日本にも。そういうときも、そこ☆あにとか私が他にやっているラジオは全部休まず続けていたわけですよね、基本的にいつものテンションで。あえて特番にせずに、いつもどおりの形式で番組をつづけることの重要さを、自分の中ではそうするべきだと思っていたので。速報性のあるニュースを放送できる立ち位置でもないし、何かの問題を提起するような番組でもないし、と考えたときに、同じことをいつものように、安心して聞いてもらえることがいかに大事なのか、安心させてくれるのか、と考えていたので。…そう考えるとですよ、ミナレの『波よ聞いてくれ』、あれ、おかしくないか?って。何となくいい話であの作品終わりましたけど、うん…毎週色々やってるよね、というさ」
米林「毎回放送事故って面白い、という話はしていたと思うんですけど」
くむ「確かに、スポンサーはいないし深夜の3時だし、何やってもいいだろう治外法権枠か、というかんじはあるけれども。一応、公共の電波だからな」
米林「麻藤さん、遊びすぎ、っていう」
那瀬「そうですね。今回のシリーズは、麻藤さんはなんだかすごそうだということしかわからなかったですからね」
くむ「メインスタッフ3人くらいでやる分には好きにやれば、という感じは局側もあると思うんですけど。ドラマ的なことをやったおかげで色んな人がお手伝いしているわけですよ。音響効果とかさ。面白かったけどね、めちゃくちゃ。いやいや、ラジオドラマつくるとなったら大変ですよ。しかも、下手したら生でやってるわけだから、あいつら。いつの時代だよ!」
那瀬「でも、形はいろいろあれど、やっぱり深夜のやりたい放題感がいいな」
くむ「そういう、ラジオの良さってこういうところにあったよね、みたいなものを、アニメで味わわせてくれた作品ですよね」

■どうしてもダメ男に行ってしまう…ミナレの良さって…?
くむ「(この作品で)誰が好きでした? 少なくとも、私はミナレは好きじゃないですよ(笑)」
那瀬「それは女としてじゃなく?」
くむ「人としてもどうかなあ…魅力があるというのはすごくわかりますが、ミナレと同じ職場で働きたいとは思わないし、彼女にしたいとは到底思えないし…」
那瀬「いやでも、付き合ったら結構いい女かもしれないですよ」
米林「尽くしてくれるって言ってましたもんね」
那瀬「そうそう、ミツオとのデートシーンは良かったじゃないですか。ミナレのちょっと女っぽい面が見られた感じがしましたよ」
くむ「そうね……難しいね。だってほら、私はミツオの方なんで。いや、ミツオの気持ちがわかる方なんで。ダメ男な時期…今でもダメかもしれないけど、ああいうミツオみたいなことしてた時期が、若い頃にあるので。お金は借りてないよ、借りてないけど、多分あんなダメな人間だった時期があるので、わかるんですよ、ミツオが」
那瀬「確かに、ミナレにしてもミツオにしても、いる。。というところ、ありますね、一面として」
くむ「恋愛の部分でいえば、ミツオとミナレはいっぱいいると思いますよ」
那瀬「そうですね。この作品、面白いのが、恋愛ドラマがけっこうトレンディじゃないですか。中原くんとかね。マキエも良いなと思うし。たまに怒涛のトレンディドラマ展開するじゃないですか。あれも緩急だなと思いますね」
くむ「うまい!と思ったね、まさに、ここも90年代を感じるよね」
那瀬「いや、中原くんいいやつですよ」
米林「めっちゃいいやつ」
くむ「でも中原くんとはくっつかないでしょう」
那瀬「まあねえ…」

圧がすごいと思っていたミナレの喋りも、終わってしまうとロスを感じるほどになっていました。ミナレの名前の由来で少し出てきたあのシーン、お父さんから送られてきた古いラジオなど、ちょっとずつ散りばめられた伏線も気になるところです!

(笠井美史乃)

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