【そこログ】「ゴジラ」とは一体何だったのか- 『シン・ゴジラ』特集まとめ

公開から1ヶ月を迎え、今なおそのタイトルを聞かない日はない『シン・ゴジラ』。怪獣・特撮好き、エヴァ好きに限らず幅広い層から高い評価を得て、興行収入は東宝の当初見込み(40億円)を超え50億円は確実と見られています。

そこ☆あにとしては珍しく実写の特集となりましたが、今回も熱いコメントをたくさんお寄せいただき、ありがとうございました。なんと、エキストラとして蒲田での撮影に参加した方からの貴重なコメントも。いいお話なのでぜひ番組でお聞きください!

そこあに「シン・ゴジラ」 #440
「そこ☆あに」440回目は『シン・ゴジラ』特集です。 特撮列伝・増刊号を除いたそこ☆あに本編としての実写特集は2014年7月に特集した「アオイホノオ」#331以来。 アニメではありませんが、劇場で視聴した後にこれは番組で絶対特集しなければ!...

■知っていたはずなのに全然違う、現代の「ゴジラ」
くむ「1作目に戻って、ゴジラが存在しない世界を描いている。怪獣というものがSF的にもいなかった世界ということになっているらしく、あれを見た時に『怪獣だ』みたいなことを誰も言わない。謎の巨大生物扱いです」
岩本「(ゴジラシリーズを)全く知らないで見ても、そういう新しさが逆に入りやすいですね」
那瀬 「私が幼い頃はもうすでにゴジラいて当たり前。だから、ゴジラってこんなに怖かったんだという初体験でした。(アイコンとしての)ゴジラを知らないというのはもはや無いと思いますけど、それをも覆す描き方。知っているモノがこんなに怖い、新しいものに見えるというのは本当にすごいと思いました」

■ゴジラ抜きでもドラマができそう、個性派・実力派俳優陣
たま「一瞬しか出番がない役も、顔を見るとああ納得、みたいな方も多かったですよ」
那瀬「あのゴジラに対抗するには、あれだけのひとが動く必要があるんだということをキャスト数で見せてきたのはすごいなと。でも巨災対は面白かったですね」
くむ「あれこそ、漫画的といかアニメ的というか。けれど、こういうのが見たかったんだよ!ですよ。ある種の変人たちですよね」
たま「わりと馴染みのあるかんじですよね(笑)」
くむ「ハリウッドとも比べられるかもしれませんけど、日本にもいい役者いっぱいいますからね。味わえる作品になっていますよね」

■見えない「死」が醸し出すリアリティ
那瀬「戦車が潰されたところはけっこう……『シン・ゴジラ』の中で具体的に死んだっていう描写は、あるけど直接見えないじゃないですか」
くむ「素直に、このゴジラのおかげで何万人が死んだんだろうと思うわけですよ」
那瀬「ニュース映像とかで出しそうなものですけど、なかったですからね」
たま「蒲田でボコボコしていたあたりはやばかったんじゃないですか。避難の準備をしていたらビルごといっちゃった家族とか」
くむ「あえて死のシーンを見せないというのが今回の特徴だったんだろうなと思いますけど。そういう意味で、戦車のシーンはこれは確実に……というところではありましたね」

一人の英雄はいないけれど、膨大な人々の知恵と勇気と決死の行動でついにゴジラを停止に追い込み、終幕を迎えた同作。しかし、これまでのシリーズと違うのはゴジラが海に帰っていないということです。

最後まで、謎そして謎ばかりだった巨大不明生物「ゴジラ」とは日本にとって一体何だったのか。ワケが分からない強大で怖るべきものを目の前に置いたまま、日本は立ち直っていかなくてはならない。まさに今この時を生きる我々が見るからこそ受け取れるメッセージがあったのだと思います。

また、現代らしさでいえば作中の多くのカットがiPhoneのカメラで撮影されていたり、ラフな3Dでレイアウトやカメラワークのアタリをつける「プリヴィズ」の活用など、映像の作り方にも映画としての新しさが多数ある作品です。Webや雑誌に樋口監督はじめスタッフのインタビューがたくさん出ていますので、読んでから見に行くとまた違った面白さが見つかるかもしれません。エンタメ的にもサブカル的にも、広く深い楽しみ方ができる作品でした。

<関連リンク>
■『シン・ゴジラ』、破竹の進撃の理由はiPad Proにあり!?
http://news.mynavi.jp/articles/2016/08/20/shin-godzilla/
「動くApple Store」といわれる樋口組が語る

■鈴木敏夫、庵野秀明を語る
http://natalie.mu/eiga/pp/godzilla2016_01
ナウシカ、エヴァ、そしてゴジラ……

■CGWORLD (シージーワールド) 2016年 09月号

ゴジラを中心にVFXの見どころを解説

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(笠井美史乃)

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