愛とはつながり? でもつながりたい想いは欲望? そこ☆あに『さらざんまい』特集まとめ

今週は、最終回直前『さらざんまい』の特集です。回を重ねるごとにあちこちから押し寄せる衝撃の展開、頭から離れないあのソング、TwitterやGoogle翻訳を使った周辺戦略など、話題に事欠かないとはこのことですね。そこ☆あにスタッフはここまでどう受け止めてきたのでしょうか。今回は女子会でお届けします!

そこあに「さらざんまい」特集 #587
「そこ☆あに」587回目は『さらざんまい』特集です。 幾原邦彦が手がけるオリジナルアニメ。『廻るピングドラム』、『ユリ熊嵐』に続いて、今回もデザイン性あふれるビジュアルと突飛すぎる設定に、初見からグッと引き込まれました。 サブタイトルの大半...

■意味不明な設定、でも浅草が舞台という実在感
たま「今期の作品で一番、1話のあらすじを聞いて意味がわからんと思った作品だったんだけど」
那瀬「私、実は1話の段階で幾原監督だと知らずに見たんですよ。でも、1話からグイグイ引っ張られる感覚というのは、すごかったね」
たま「何かわからない不思議な魅力があって。あと、すごいパワーあふれるワードで押し切られる感じが、幾原節だ、と思ったかな」
那瀬「幾原さんの世界観が丸出しなのにこんなに惹かれる作品、というのはすごいなと思いました。でも、1話を2回目に見たとき、だいぶ感触が変わったかな。1回目のドーピング感というか、頭がハイになってしまう感じはちょっとなくなったんだよね。でもそれって、思い切り掴まれたという証拠でもあるわけじゃない」
たま「確かに、”見るお薬”感みたいなのは最初にあって。2回目、落ち着いて見ると色々なものが見えるという感じだよね」
那瀬「私がそうなんだけど、今まで幾原監督作品をちょっと敬遠してしまう、ちょっと難しいなと思ってしまった人こそ、『さらざんまい』は見てみて欲しいと思うな」
たま「文学だと思ったらエンタメだった感じじゃないですかね、今回」
那瀬「ああ、わかる!」

■一希・燕太・悠、それぞれのつながりと欲望
那瀬「この3人の中では、実は燕太が一番わかってるかな、と思うところもあって。大人というのとはちょっと違うけど。欲望が、ある意味稚拙というか。わかりやすくて」
たま「いいヤツなんだ、ってお兄ちゃんも言ってたよね、悠くんの。恋愛が絡まなければ本当にいいやつなんだと思うな」
那瀬「もう、結構早い段階でカミングアウト…? という言い方でいいのかしら」
小宮「うん、漏洩したね」
那瀬「あの漏洩シーンがあるわけじゃないですか。まあよくあるけれど、縦笛ですよね」
小宮「あれはやっぱ、ちょっと1回ドン引いた上で納得するんだよね、悠も」
那瀬「個人的には、ビジュアルは一番悠が好き」
たま「わかる。ほっとけない見た目しているのがね、ずるいなって」
那瀬「悠も悠で報われないよね。この作品に共通している部分かもしれないけど。愛が報われないというか、つながりたいけど、というところが一貫しているなと」
たま「話数を重ねるごとに魅力が上がっていくキャラクターだなと感じたね。最初出てきたときは本当やばいやつだったから」
那瀬「逆に、一希は後々になって意外と勝手なやつなんだなと思うところがある。まあ、それは私が悠に感情移入してしまっているからという部分もあるかもしれないけれど」
たま「うん、私も燕太に感情移入してるから、一希もうちょっと話聞こうよと思いはする」

■愛に種類はあるのだろうか。あるとしたらその違いは?
たま「(恋愛要素が)男性同士だったのは、恋愛の時と友情の時の距離感がちょっと違うからかなと思っていて。女の子って、友情の中でもちょっと愛情に近いような距離感てあるじゃないですか。友情なんだけど近すぎる、みたいな。でも男の子って、もうちょっと差があるかなって。これ、ちょっと男性の意見が聞きたかったですね」
那瀬「私は、男性の友愛的なものの方が結構境目が難しくて、だからこそBLって結構そこに葛藤する話が多い気がするの」
小宮「私は『さらざんまい』に関しては、愛の方向を考えるのが間違っていると思って見てます。恋愛とか友愛とかって、決めているのは視聴者だから。『さらざんまい』、というか幾原監督の作品では、あまり断言していないのが多いなと思っていて。これは恋愛だ、というふうには書いてないなと私は思っているので」
たま「確かにそうかもしれない。これが恋愛ですってラベルが貼ってあるものではないかな、とは思いますね」
小宮「そもそも、同性愛と考えるのが私たち視聴者の偏った意見であって、本人たちは同性が好きなわけじゃないかもしれないし。逆に相手が女の人でも好きだったのかもしれないし。そういう意味では、恋愛とか友愛とか考えなくて、ただつながりたいという気持ち一辺倒。愛ってつながりなんだなというところを、ストレートに出しているだけの作品なのかなって感じているので」
たま「確かに、燕太が一希のことをどう好きかという話をしていた時に、今のままの一希が好きと言っていたのは、そういうことな気がする。その人がその人であることを一番大切に思っているということは、恋愛、友愛、いろんな形の名前をつけなくても、愛だね、確かに」

欲望が搾取されるとゾンビになり、その尻子玉から希望の皿が生まれる。それが希望の半身なら、絶望の半身は…? 未来は欲望をつなぐものだけが手にできる。最後の1皿に盛って出されるものは一体何なのか、全力で最終回を待ちたいと思います!

(笠井美史乃)

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