久しぶりの2クール作品の特集となりました、今週の特集は『Re:CREATORS(レクリエイターズ)』です。青田買いの時点ではこんなにキャラクターが出てきてどうなっちゃうの? と思っていましたが、今見返すとだいぶ見えかたも違っていますね。キャラクターと作り手たちとの関係性にも注目したい作品です。
■主人公らしからぬ「狂言回し」主人公が活躍する日は……
那瀬「狂言回しって一番客観的に見られる人という感じでもあるしね。それこそ、周りが“主人公”だらけじゃない。その中で、誰よりも主人公じゃない人がいないと、それこそ回せないよね」
くむ「実際、各キャラクターをほとんど知っていたのは彼しかいなかったわけですよね。この物語を回し始めた段階ではやはり颯太がいたからこそ、あの作品のこのキャラクターだということを全部言えたというのはありますよね」
那瀬「だから余計ね、最初はそのためだけにいるのかこいつは?くらいに思う気持ちもわかりますよね。主人公ぽくないというのは、そこもあるんだろうなと」
小宮「可能性としては、一番自由度が高いのが颯太なのかなと私は感じていて。被造物たちはアニメの主人公や主要キャラクターであるがゆえに設定があるので、ある意味不自由なところってあるじゃないですか。颯太くんはそこに則っていない主人公なので、物語を扱った作品の主人公としてすごく重要な意味を持ってくるのかなと思っています」
■不器用さだけが残ってしまったストーリーなき世界で
小宮「アリステリアには男気みたいなものを感じていて。この道を行くと決めたから間違っていても自分で道を見出して行く、みたいな強さ。強さってそういう危ういものもあるし、それが魅力だったりもするのかなというのが、すごくあって」
那瀬「でもアリステリアがこれだけ創作物として愛されているのは、その不器用さも絶対あると思うんだよ。たた、間に合わなかった状況があったらしいじゃない、あのお話の中では」
小宮「普通だったら、このキャラクターなあ……と思うところが、この作品の中ではそのキャラクターの良さだったり魅力だったりするのかなあという風に見えるので。何か足りない部分というか、その人なりの不器用な部分だったりするところが見えると、逆にすごく魅力的に見えて」
那瀬「間に合わなかった、という悲しい状況を作るために、そういう不器用な性格が与えられたわけじゃないですか。なんか、そういうストーリーがないところに連れてこられた辛さよなぁ……」
■変化?成長? キャラクターたちも現実世界を生きている
那瀬「鹿屋くんだって多分、こんな思い切り外世界に飛ばされたから『きっと俺はまた乗るんだろうな』と言っているんでしょうけど。碇シンジくんじゃないけど、ちょっと基地から離れたくらいだったらすげえウジウジしていたと思う」
小宮「でも望まぬ戦いだからウジウジしていたのであって、理由が違えば人は違うのかも。性格って、性格が先にあって人生が進んでいくのか、人生が性格を作っているのかって考えたらわからないから。そう見えていただけで、環境が変われば理由が変わるからこうなるのかなと考えていたんですけど。とりあえずこの時の鹿屋くんは、誰?って思いますね(笑)。こっちの方がいいですよね」
那瀬「そうねえ。逆にブリッツみたいな人が」
くむ「そう、元の作品ではカッコよかったはずのブリッツが、なんだこの薄い男、みたいなことになっているというのが面白いわけでね」
メテオラ、アリステリア、築城院真鍳……一人ひとりのキャラクターについてがっつり語りたくなるほど、世界観の厚さに作り手の愛を感じる作品です。後半戦、ようやく始まる組織的な抵抗戦がどのような展開になるのか、見応えある2クール目を期待したいと思います。
(笠井美史乃)