今週は、ただいま劇場公開中『コードギアス 復活のルルーシュ』特集です。テレビシリーズ完結から10年、新たに再構成された劇場版3部作も昨年完結し、いよいよ公開された完全新作。タイトル通り、本当にルルーシュが復活するの? という疑問は比較的早い段階で払拭されたわけですが、ファンとしては見てみたかった部分である反面、少し複雑な思いも…?
なお、内容にはネタバレを含みますので、ご了承ください。
■復活したけど…この作品、ひとことで言うと?
那瀬「パンフレットで脚本の大河内一楼さんの書いていたことがすごく言い表していると思ったんですけど、嬉しくなる同窓会といういか。コードギアスを見ていたのは、ちょっと年齢は高めでしたけど、感覚としては子供の頃くらいの気分なんですよね。だからすごく、嬉しくなる、懐かしくなる。自分の好きだったコードギアスだな、という。そんな感覚になれた印象ですかね」
くむ「ファンムービーという言葉はいろんな捉え方があると思うんですけど。でも、ある種見たかったものを見せてくれたという面はすごくあったと思うんですよね。なかなかこんなエンディングは迎えないよ」
那瀬「そうなんですよ。当時を思い出すと、結構難しかったとか、ちょっと暗い話でもあったとか。そういうイメージをすごくキレイに塗り替えてくれたというか。好きな作品が明るいものになった。で、これを持って自分はこの先大人になっていける、みたいな。いい更新をされた気分なんです」
くむ「同窓会ですからね。感想はいろんなパターンがあるとは思うんですけど、素直に、これはこれで楽しめる物語だったなと思うので」
那瀬 「どんな立場の人にとっても、ですね」
くむ「コードギアスが好きだったのであれば、ぜひ見に行って欲しいし。もしかしたら憤慨する人もいるかもしれないけど、これも結末の一つなんじゃないのかな。あくまでファンムービーだっと思えば納得できる部分もあるかもしれないと思うし」
■ヒロインC.C.の救いの物語
たま「みんな、少し前向きに未来へ向かえるような終わり方をしていましたね。扇とか、だいぶ救われたんじゃないですかね。これまで散々ケチョンケチョンチョンに言いましたけど」
くむ「扇は多分、好きか嫌いかといわれたら嫌いだよと答えるくらい、見ている側からもあの結末でよかったのかと。絶対、抱え込んだまま生きていたわけじゃない。それをあそこで解消できたわけだからね」
蒔田 「ルルーシュがああやって扇を許しちゃうと、今まで嫌だなと思っていた我々のほうの溜飲もちょっと下がるところもあったので。コードギアスって、すごく嫌な部分とすごく好きな部分がまぜこぜになっている作品だったんですけど、そのへんの、ちょとこれどうなの?みたいなところは今回の映画でかなりマイルドにしてくれたかなって思います」
たま「扇もそうだし、他の黒の騎士団のメンバーとかも、いろいろあったわけじゃないですか。そんなキレイな思い出にしちゃってるのね、みたなところはありましたけど」
蒔田「それって、みんなが集まって笑っているところを我々が見て、納得させられた部分はあると思うから。そういう意味でも、やった意味があるのかなと」
くむ「この作品が劇場三部作の続編と考えると、まあわかりやすいというのかな。劇場三部作って完全に、C.C.がヒロインだったじゃないですか。そのC.C.がヒロインだった物語の続編として考えると、やはり必要な結末ですよ」
たま「あれだけC.C.を向いた話で来たから、やっぱりテレビシリーズの終わり方だと切ないというか、報われない気持ちにはなるじゃないですか。それもいいっちゃいいけど、でもやっぱ幸せになってほしかったよな、みたいなものは残っていたから。そこへ来ての、あのエンディング。本当にC.C.への救いの話だったのかなと思いましたね」
■我々も見たかったのかもしれない、もう一つの結末
くむ「私が最初に見た感想は、これは最高のファンムービーであり、谷口監督のコードギアスに対する決別のメッセージだというふうに取りました」
蒔田「僕は、まあそうなるだろうとは思ったけど、言ってしまえば蛇足だよな、っていう…。面白い面白くないは別にして。死んだままのほうがやっぱり締まりがあったし、お話としてはよかったよね、というところは今でもあります」
たま「うん」
蒔田「ただ、やっぱりそれでも、もし生きていて幸せになったらとか、そういうのを見てみたくなかったかといわれると、やっぱりちょっと見てみたい気分も、誰もが多かれ少なかれ持ってたわけじゃないですか」
たま「思っていたからこそ、生きていたんじゃないか説というのも根強くあったわけだし。やっぱり私たちどこかで見てみたかったんじゃないかな、とも思ったから。それに対する回答としては本当にすごくいいものにしてもらえたとも思うし。だけど、やっぱり、蛇足だったよなという気持ちも、嘘じゃないし…っていう」
くむ「10年以上前じゃないですか、テレビシリーズのR2が終わった時って。生きているんじゃないか説というのは当時からあったわけで。じゃあ、そのあと何が見たかったのかと思えば、確かにこの10年が必要だったわけですよね」
蒔田「あれでR2の終わった次の年にこれやられてたら、ほげーー!でしたよね」
たま「めっちゃ怒っていた人、もっといっぱいたと思うね」
くむ 「確かにね。今回はこの10年間を応援してくれていた人たちへの、ある種、お礼だったんだろうと」
蒔田「ご褒美というか」
たま「ご褒美ですよね」
くむ「だからそれをこの2時間できちんと、物語としても、ファンムービーとしても見せられるものを作ってくれたという意味では、さすが谷口・大河内コンビだったなと思います」
たま「ルルーシュがもし、どういう理由かはわからないけど生き残ったとしたなら、あの結末にたどり着くだろうなというものでもあったので。そこに関する納得感はすごく強かったです」
劇場版3部作で完結した物語は、そこで世界が静止したのではなく、それぞれのキャラクターにその先の未来がありました。このプロジェクトに何らかの形で続きがあるのかはわかりませが、コードギアスの世界はこれからも生き続けることを示してくれた作品でした。迫力のナイトメア戦はぜひ劇場でお楽しみください!
(笠井美史乃)