あり得ないのに「あるある」って思えるフシギな世界 そこ☆あに『夜は短し歩けよ乙女』特集まとめ

今週のそこあにはジョシカイ! 那瀬ちゃんの愛が炸裂する映画『夜は短し歩けよ乙女』特集です。テレビシリーズ『四畳半神話体系』で独特の世界観を紡ぎあげた森見登美彦原作&湯浅政明監督コンビ。見たこともない夢みたいなファンタジー世界を、アニメーションならではの表現力で見せてくれる作品ですが、同時に物語はとてもシンプルで暖かいメッセージを伝えてくれます。多くのコメントをいただき、ありがとうございました!

そこあに「夜は短し歩けよ乙女」 #474
「そこ☆あに」474回目は、『夜は短し歩けよ乙女』特集です。 原作は森見登美彦による小説。湯浅政明監督、脚本・上田誠(ヨーロッパ企画)、キャラクターデザインに中村佑介という「四畳半神話大系」スタッフが再集結した、アニメーション映画作品です。...

■素直に「すごい」! もうそれでいいです
那瀬「アニメーションのすごさというのを、非常に分かりやすく一般層に提示する一作でもあるなと思ったんですよね。こんなふうに見えてるわけないのに、いつのまにかこんなふうに見えていたんだ、と思えてこない?」
美樹「お酒飲むと、ごくんとのどがふくれたりとか。普通じゃあり得ないのに、でもあるよねそういうの、というあるあるに思えてしまう。あの感覚とか描き方というのは唯一無二だなと思いますね」
那瀬「アニメだからこそできる誇張表現、あれはやっぱり実写ではできないことだし。それこそ詭弁踊りにしても『へんな踊り』であれ作れる? というイマジネージョン。やっぱり絵だからこそできる表現だなと思います」

■無駄に悩む時間の尊さよ
那瀬「今回、いろんなキャラクターから見えている世界を時計で表しているのもすごい。文字盤も針の動き方もぜんぜん年代によって違うんだよね。一年あっという間だよね、と言うようになる感覚と同じように表現されているのがすごい面白いなと。李白さんは時計の数も凄まじいからね」
美樹「お家もね。それに縛られている感じがありますよね」
那瀬「ああそうね、時間に縛られているのか……。まさにそこだと思うんだけど、大学生の時間て、むだだよねえ。人それぞれだと思うけど、かけがえのなさという言葉にはできるかな。一番無駄が多くなっていい年代というか、あってもなくてもいい4年間じゃない」
美樹「そうですよね、義務教育からははずれているし。そのまま社会人になってもいいじゃない、というのになぜ大学に行くのか……」
那瀬「あの無駄にできた時間が尊くてうらやましいというか」
美樹「その時は本当に、乙女のように普通に時間は進んでいるんですけど、今思い返すと一瞬だったなと思いますね」

■風邪を引くという「つながり」
美樹「風邪を引くなんていいものじゃないのに、そこから人と人のつながりを感じさせてくれるって、ほんと面白いなと思って。李白さんと、お見舞いに来た乙女のシーンがすごく好きで。まさに、卵酒を飲んだような心あったまるシーンだなと思って」
那瀬「わかるー!食べ物で表現したくなるよね。歌うようにセリフを言いたい。風邪のお見舞いといえば、学園祭事務局長の名言が好きすぎない?」
美樹「何回見てもあそこ笑う自信ありますよ(笑)。『ご覧の通り、人望で生き埋めになりそうだよ』ですよね」
那瀬「もう、あれをサラリと言える人望! 」
美樹「お見舞い品がすごい。あれが人望かあ……」
那瀬「具現化されたらああなるわけですね。でもほんとに、先輩が報われて良かったよなあ」
美樹「そんな、2人がであうストーリーなのに本当にいろんなことあったなという、夢のような世界」
那瀬「一夜ですよ、一夜」

脚本、キャラクター、音楽、そして声優陣まで、キレキレの個性が集結してスゴい相乗効果を見せてくれます。長くて短い、そして濃い一夜、「視聴」というより「体験」するのが楽しい作品です。ぜひ劇場でご覧ください!

(笠井美史乃)

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