ムズムズする初恋に心くすぐられる人続出のようです、今回は『月がきれい』の特集です。アニメではなかなか見ないタイプのリアルさが逆に新鮮。丁寧に描く日常がこんなにも心くすぐるドラマになるなんて……ドラマチックで非日常な青春に慣れてしまったいたんだと気付かされました。今時の中学生と同じところ・違うところ、自分の思い出と向き合わざるを得ないのがまた語りがいがあると言いますか、トークが盛り上がりました。思い出話を交えたコメントもたくさんいただき、ありがとうございました!
■ケータイ世代、連絡手段の差は大きいけれど……
くむ「私なんかからすると、どうやって待ち合わせするか、留守電に入れるか、とかそんな時代でしたから。しかも自分たちの電話番号なんてないわけだから、とにかく大変だったんですよ。親に電話出られたらどうしようとか。そんな中を乗り越えて恋をしていたわけですけど。普通に自分の番号を持ってメールもできるようになって以降の恋というのは、多分全く変わってきたんじゃないかなと思うんだよね」
那瀬「今の、連絡を簡単に取り合える環境はうらやましいですか?」
くむ「うぅん……多分、当時こういう環境を持っていたら、俺はもっとダメな人間になってたと思うんだよね(笑)」
那瀬「でも、やきもきする部分が変わっただけで、結局葛藤しているのは同じというか。これだけ連絡が簡単にとれちゃう中でどう接触していこうか、みたいな」
くむ「確かに、手段が変わっただけで根本は変わらないんじゃないかと思う一方で、やはり当時この機能を持っていたらもっと悪い人生を送っていただろうと思いますね。傷つけた人数はより増えたんじゃないかと(笑)。まあ自分が傷つくことも増えるんじゃないかと思う」
■テンプレ的でない「恋の落ち方」
美樹「今の年齢で思うと『水野さんはそのままでいい』って、すごいですよね、。存在の全肯定ですよ。そんなに意識して言った言葉じゃないだろうけど、すごい愛の告白ですね」
くむ「多分そこまで意識して言ったワケじゃないけど、それがちょうど彼女の悩んでいることにピッタリだったということですよね。対比的に部長のヒラくんがね、部長としてということもあるんだろうけど、彼女への応援の仕方がちょっとずれてたんだよね」
小宮「恋ってパズルのピースみたいなものがあって、その時相手がどんなところで悩んでいるか、という部分にピタッとはまった人と恋が始まることが多いと思うので。茜ちゃんが安曇くんに引かれれて行くきっかけというのは、私たちは見ているから知っていますけど、人形を探してくれた真っ直ぐなところがピタッとはまったのかなと」
くむ「彼の優しさがきちんと伝わったということなんでしょうね。それが恋をまともにしたことがない彼女にとって、どういう風にとれたか、自分が恋をしているんだと気づくか気づかないか、みたいな。このテンプレ的な恋の落ち方じゃないところが。ドキドキし始める感がいいんですよね」
■『初恋』はじめ、印象的に流れる挿入歌もポイント
美樹「私は中学時代が一番CDを買った時代なんですよ。借りてきてはMDで自分のアルバム作るみたいな。悩んだ時とか嬉しい時とか失恋した時とか、感情ごとに好きな曲をずっとリピートして聞くみたいなところがあったので。それこそその曲を聞いたらその時の気持ちを思い出すみたいな。この作品にある挿入歌の入れ方ってまさにそういう感じがして。キャラクターに寄り添っているのが、自分が学生時代に寄り添ってくれた音楽に近いという、その演出の仕方が上手いなあと思って見ていますね」
くむ「曲自体は懐メロなんですけどね。この作品がおっさんたちに響いているっていうのは確実にそういうところはあるなと思うんですけど」
那瀬「またカバーされているのもいいなと思うんです。『初恋』は懐メロという印象しかなかったんですけど、今回は東山奈央さんのカバーで、自分たちが聞いたことのない声で歌われるだけでその歌詞がすごく新鮮に染み入って来るというか。改めてこの歌詞の意味をちゃんととらえることができたのは、実は今回が初めてでした」
くむ「内容がちゃんと作品に描かれていることにつながっているなと感じられるのが素晴らしいですね」
たどたどしくも付き合い始めたところで折り返しを迎えましたが、なんと親友がライバルに。友達関係の行く末も気になるし、部活、進学、お祭りなどなど他にもたくさんの要素が仕込まれています。エンディングで流れるLINEの会話も気になりますね! 最後までじっくり見守りたいと思います。
(笠井美史乃)