11月30日、今年始まった“新たな攻殻”シリーズの第2話となる『攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers』が公開され、都内の劇場で舞台挨拶が行われました。
登壇したのは、草薙素子役・坂本真綾さん、バトー役・松田健一郎さん、ロジコマ役・沢城みゆきさん、総監督・黄瀬和哉さん、脚本・冲方丁さん、border:2の監督・竹内敦志さん、製作総指揮でプロダクションI.G社長・石川光久さん。
(左から)黄瀬総監督、冲方さん、沢城さん、坂本さん、松田さん、竹内監督、石川社長
竹内監督は、当日イベントで行われていた義体メイクを頬に施しての登場。バトー役の松田さんがバトーの義眼をはめて見せるひとコマも。2作目ということもあり、冒頭からお互いに気心の知れたボケツッコミが行き交いました。
石川社長「(別会場の舞台挨拶でイシカワのような付け髭をしたら)坂本さんに『IGじゃなくてNGだと』怒られました。」
坂本さん「そんなこと言ってません、虚偽です!(「イシカワ」と)言ってくれと付け髭をつけるから……。冲方さんはピンヒールで踏んでくれって言うし」
冲方さん「言ってねえよ!(笑)」
司会「誰のどの記憶が捏造されたものなのかは皆様の想像にお任せしたいと思います。」
全4話構成の中の2話目となる今作では、9課のメンバーがだいぶ出揃ってきました。
黄瀬総監督「シリーズ全体としては冲方さんの方でコンセプトができているので、その中で今回はどんな話にしていくか。具体的にはドミネーションしてみたり、どこでメンバーを出すか……あとは(冲方さんに)すみませんお願いしますと(笑)、素直に任せました。」
冲方さん「毎話毎話、課題がたくさんあるんです。2話では9課のメンバーを出すことですが、9課vs何かにすると人数が倍増する。9課vs9課なら半分で済むぞと(笑)。イシカワvsパズとか、意外に見たことが無いので新鮮さも出るだろうと。あとはキャラクターをどう若くするのかが命題。肩身の狭いイシカワとか、空回りするボーマとか、感じの悪いサイトーとか……お題を決め、素子・バトーと掛けあわせていくという。口で言うのは簡単ですが、死ぬかと思いました(笑)。」
border:1では『かわいい素子、かっこいい荒巻、かわいそうなバトー』というテーマが出ていました。
冲方さん「今回は特に『かわいそうなバトー』をだいぶ強調しました。」
竹内監督「(素子との)はっきりとした主従関係がここから始まったということですね。」
ストーリーでは攻殻で今まで見なかったような重量級のメカアクションをはじめ、ハイスピードなアクションシーンが展開。一方で、ふと周囲から切り離されたような静かなシーンが挟まれ、大量の情報が見る者の脳に流れ込みます。
竹内監督「ずっとアクションの中で物語を転がしていて、展開が早いんです。そういう時に、電脳空間や荒巻との討論、最後の牢のシーンというのがリズム的にもアクセントになっていると思います。」
何かにくすぶったり、自分の存在のために復讐にこだわる男性キャラクターたちが、次々に素子に従えられます。みんな素子に何かされてみたい気持ちになってしまうのは?
冲方さん「登場人物全員が過去を向いている中、素子だけが自由を得て、未来を見て情熱を燃やしているんです。みんな負の側面にひきずられているのに、素子がそれを蹴散らして、素子の向かう先に未来があるとみんなが薄々感じる。あとは、物理的にも電子的にも強いので、逆らいようがない(笑)。」
坂本さん「border:1でも、未熟というか感情が表に出やすいところが意外でしたが、今回はより素子自身が楽しそうに、やるべきことを生き生きと探していく姿が見え、前回とは違う面でかわいいなと思いました。」
過去に傷を抱える大人たちの中で、異色であり続けるキャラクター、ロジコマ。役作りについて尋ねられた沢城さんの答えは「何も考えない」でした。
沢城さん「飲まれない、素子にさえも。現場も『攻殻だー!』となって(力んで)いましたが、私はその中でいかに伸び伸びとやるかが課題だなと。真綾さんに何か言われたら、その通りのことは一生懸命したいな〜、くらいの意気込みなんです。」
まだ中身が何もない、空っぽな感じをそのまま体現。また、アフレコではロジコマの動きを見てかなりアドリブを入れまくっているそうです。
沢城さん「(アドリブは)ほとんど切られているんですけど、今回一つだけ、素子の『止まれ!』に『ストーーーーーップ!』と言ったのは私が勝ち取ったセリフです(会場拍手)。ふざけているんじゃなく、全力で”空っぽ”やっているんですよ!」
冲方さん「コンテを見ると、ロジコマのセリフが『アドリブ』になっているんです」
竹内監督「思いつきもしないというか、僕の中にはない言葉が多いと思ったので。『アイアイサ!』というセリフは、のけぞって笑いました。」
『攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers』は、11月30日(土)より全国23劇場で2週間限定公開&劇場限定版Blu-rayも発売中。通常版は12月25日発売です。
派手なアクションとスピード感ある展開が見どころのborder:2ですが、昔からの攻殻ファンならニヤッとするネタも仕込まれています。9課発足に向けた流れと、border:1から続く擬似記憶を植え付けるウィルスの謎。来年6月28日公開の『border:3 Ghost Tears』がますます楽しみです。
■攻殻機動隊ARISE公式サイト http://kokaku-a.jp
(c) 士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会
攻殻機動隊ARISE (GHOST IN THE SHELL ARISE) 2 [Blu-ray] 坂本真綾,塾一久,松田健一郎,黄瀬和哉,竹内敦志 バンダイビジュアル 2013-12-25 |