岡田麿里監督が織り上げた、繊細で、悲しいけれど暖かい物語 そこ☆あに『さよならの朝に約束の花をかざろう』特集まとめ

今週の特集は劇場作品『さよならの朝に約束の花をかざろう』です。監督・脚本は、今作が初監督作品となる岡田麿里。不老長寿の種族イオルフの少女マキアと、彼女に育てられる人間の少年エリアルを中心に、様々なかたちの母と子の関係が描かれます。

今回は最初からネタバレありのトークとなっていますので、ぜひ劇場でご覧になってからお聞きください。

そこあに「さよならの朝に約束の花をかざろう」 #522
「そこ☆あに」522回目は『さよならの朝に約束の花をかざろう』特集です。 劇場作品として話題になった「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがっているんだ。」P.A.WORKS作品として「true tears」「CANAAN...

■岡田麿里が描くハッピーエンドの形
蒔田「こんないい作品を作ってくれる監督が出てきて嬉しい! この先アニメ業界明るいなって思っちゃいました」
くむ「私も、岡田麿里がパンツを脱いだ、じゃなくて穿いたですけど、そういうイメージで。今までいろんな作品やってきて、ついに監督をやることになって。(自分で)監督と脚本をやることで、できた作品という気がする。だから、これをやった後に作る次のオリジナル映画が見たいですね」
蒔田「わかる!」
くむ「私は泣いてないとは言っていますけど、作品としては感動しているわけで。いい物語を作ってくれたなという気はしたのね。見終わって笑顔で劇場を出られる作品だったと。やられたなあとか、心に傷を追って劇場を出る、みたいな作品ではなかった。そういう、えぐるのが強いタイプの作家性だったと思うんだよね」
蒔田「今までを見るとそうですね」
くむ「それは、泣ける泣けないとかじゃない。なので、今回の作品が感動というところにいっていることが、最初まず、え?だったわけですよね」
蒔田「予想外だったわけですね」
くむ「まあ、ハッピーエンドと言っていいのかどうかはわからないですけど、ハッピーエンドに近い終わり方、少なくとも、マキアとエリアルの関係についてはハッピーエンドで終わるじゃない。いい気持ちで出られる映画だったなと思いました」

■出産を控えた那瀬&美樹は思うところも大きく
那瀬「マキアってすごく感情移入するとともに、すごく理想的な人、むしろ理想で留まれているズルさもあるなと思ったんですよ。なまじっか、今出産を控えている身なので。こう綺麗にはいかないだろうな、っていう」
美樹「綺麗なお母さんで終わったもんね、マキアは」
那瀬「だってまず老いないじゃん。ずるい」
美樹「先に子供が死ぬなんて経験はしたくないけど。ちょっとやっぱり特殊だなっていう部分はありますね」
那瀬「そうだよね。恋愛を経てない親なんだよな」
美樹「出産もしていなくて、エリアルを得ているわけだし。わたしはマキアには、これから先に出産するということをして欲しいなと思って。そしたら、また別の形でまた母になるのかなとか考えちゃうな」
那瀬「すごく引っかかったのが、どうしたら本当のお母さんぽくなれるか、っていうじゃない。今だからこそ、余計刺さるというか。ああ、お母さんになりたい、いいお母さんになりたいんだよね、私たちもねえ! いやあ、汚いんだろうな。そんなことを思って泣いちゃったんだよね」
美樹「最近、私自身が言ってもらった言葉で一番心に残っているのが、“失敗を恐れなくていい。子供が親にしてくれるから”という言葉で。この作品のマキアとエリアルの関係って、まさにそうだったなと思って。今の私を織り上げてくれたのはエリアルなんだ、というマキアのセリフが、やっぱり子供が親にして行くんだなとすごく感じて。この二人の親子関係は本当によかったなと思いますね」

■飛び立つマキアとレイリアと、見送るメドメルと
芦川「ずっと会いたいと思っていた、自分がお母さんだからと強がっていたレイリアが、実際会ってみたら、忘れてほしい、なかったことにしたいと。母として頑張ろうとしていたレイリアが、やっぱり実際に子供を育てていないせいかわかりませんけど、少女っぽいく戻っちゃった部分なのかなと思いました」
くむ「レイリアは母でありながらも、母らしいことをメドメルに対してできたことはないんだよね。マキアは自分の子ではないエリアルをきちんと育て、片やレイリアは自分の子なのに一切会うこともなく、育てたくても顔すら合わせさせてもらえないという。この対比ですよね」
那瀬「ここの三人の女性って、メドメルも含めて、すごくかっこいいよね。この連鎖感というか、気持ちが良いシーンだったなと思うんだけれど。でも、マキアとレイリアの関係って本当に危ういですよね。ちょっとでも、二人の運命のどちらかがもうちょい幸せだったりしたら…。ギリギリ!許せない相手でしょう」
小宮「でもレイリアが一番母親っぽかったのはあのシーンだなと思うので。最後のシーンですごく母として印象を残していったから。二人の関係性から、そういう母親の在り方、産めば母なわけでもないし、育てれば母という訳でもなくて、母親というものがあやふやな存在であり、どういうものであれ愛情があって、子供がいれば母なのかなと思える部分でもあったなと思いましたね」

脇を固めるキャラクターたちにもそれぞれの生い立ちがあり、それぞれの愛情があり、さまざまな形の母と子が描かれました。別れることが運命付けられていても、織り上げた日々は残る。大きな印象を心に残してくれる作品でした。

(笠井美史乃)

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