今回は、テレビシリーズ終了から約5年を経ての公開となりました、劇場版『SHIROBAKO』特集です。リアリティあるキャラクターと業界事情を描きながら、全体的にはファンタジー、そこに夢と情熱が詰まっている、独特な世界観が魅力の作品です。テレビシリーズの「俺たたエンド」を経て、みんなはどう成長したのか…。困難を乗り越え、テレビシリーズ活躍したキャラクターが総集結する展開は、まさに劇場作品の王道です。
今回のトークは作品のネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。また、この記事も一部ネタバレの内容が含まれます。
■去る人もいれば、出会う人もいる…「宮宮コンビ」誕生!
米林「宮井さん、なんて素敵な美人なんでしょう」
くむ「初登場の酔っ払いシーンは、サラリーマンの悲哀が出ていて良かったですよね。中間管理職というか」
仮面「あの状況でこの仕事を振られたら、誰もがやった!とは思わないですよね…。ピンチはチャンスだと思うしかないっ、てところにまず行かないとダメじゃないですか」
くむ「でもどん底でしょ、あの状況」
那瀬「だけど若い力って感じがするし。“宮宮コンビ”とコメントにもいただきましたけど、この先、宮森がもっと偉くなったらまた彼女と作品を作っていくんだろうな、という伏線キャラとも取れるし。そう言う意味では、もうちょっと宮井さんのシーンを見たかったな、とは個人的に思いました」
仮面「宮森って、アニメーション同好会の仲間はそれぞれの専門で業界に入っていって、制作進行では先輩後輩はいたけど、同じ志を持つ仲間っていなかったなと思って。そのポジションに入ってきたのはすごくいいなと思いました」
那瀬「宮森の、新しい立ち位置での相談相手になってくれそうな人だなって思った」
仮面「だからもうちょっと活躍が見たかったな」
那瀬「そうなんだよね。すごく、お酒飲むシーン良かったじゃないですか。あれで距離が縮むのもあるあるだと思うし。だからこそ、彼女たちが相談するシーンなんかが挟まっていたら、ラストの着物で立ち向かっていくシーンも見ていてもっと心が入った気がするなと、ちょっと思いますね」
くむ「別に着物じゃなく、素直に向かっていくシーンでも良かったかなと思うくらいですからね。堂々とプロとして戦ってって欲しかった気もする」
■友達、師匠、先輩後輩…みんなが誰かを支えている
那瀬「テレビシリーズ2クール目では嫌われ役を買っていた大ちゃんがね、楽しそうにアニメ業界で仕事してるのが、もう!嬉しくて嬉しくて! ホント、大ちゃんには高梨みたいな適当な友達が必要だったんだなって。あれは素晴らしい縁だなと思いました」
くむ「テレビシリーズでもラストの方はすごく仲良さそうな感じがあったんだけど、そのままお前ら続いてんのかと。ムサニがこんな状況になってしまった後も、彼らは仲良くやっているんだというね」
米林「高梨のおかげで、大ちゃんも自分の本来やりたかったことに這い上がれたんだなとすごい感じるし。大ちゃんが宮森に、やりたいことがあるんだったらやらないとダメだよと言っているところが、人生の先輩っぽくてカッコいいと思いました」
那瀬「みどりと舞茸師匠もいい関係性でした。みどりの成長はわかりやすいと思うんですけど、今回は、舞茸さんの成長でもあるじゃないですか。成長というか…」
くむ「プロでも壁にぶつかることはたくさんあるんだよ、という時に、後輩がいい感じでフォローしてくれた、という感じじゃないですか?」
那瀬「本当に。どれだけキャリアを積んでも、実るほど頭を垂れる、じゃないですけど、ああいう姿勢って大事なんだなって見せてくれたし。みどりに対して商売敵って言葉を言えるのって、脚本家のセンスよねって思いません?」
米林「カッコ良かった!
仮面「あれ、言われた方には最高の褒め言葉だな、と思って」
米林「困ったときに信頼できる相談相手としてみどりがいるというのが、すごいいい関係だなと思いました」
那瀬「師弟関係として理想の姿だよね」
くむ「この作中の中では、一番師弟関係っぽい描かれ方していますよね」
■元社長のカレー、秘伝の味をいつか受け継いで
仮面「丸川社長って動じない人というイメージがありましたけど、しばらくカレーを作る気になれなかった、というのが…。アニメーションが好きなだけじゃ続かないって言ってるけど、でもやっぱりめちゃくちゃ好きだった、あの空間が。だからカレーが作れなかった、というのが伝わってきますよね」
くむ「丸川さんは、社長はやっていましたけど実務ではほぼ関わっていなかったですよね。ということは、彼は責任を取るためにいる人だったわけですよ。その責任を取った、ということですよね」
仮面「そういう人が、ちゃんとその立場でいてくれたおかげで、みんな動けていたということですね」
那瀬「でもね、個人的にはあそこでカレー作ってるのはナベPであって欲しかったなと」
仮面「ナベPはちょっと今回…」
那瀬「ちょっと不甲斐なかったよね。話はズレますけど、丸川社長って、それこそP.A.の堀川社長の理想像なのかなって思いません? 堀川さん、最近畑耕してるんでしょ?」
くむ「はい(笑)」
那瀬「どこかのインタビューで、だんだん現場を離れて行かなくては、みたいなことをおっしゃっていて。丸川社長みたいに、現場のみんなに託す、任せる形になっていこうとしているのかなと、このキャラクター描写から感じました」
くむ「でもそのあとを継いだのがナベPというところが、ちょっとね」
那瀬「不安が…。早く宮森に社長になってもらわないと」
くむ「そうそう。どう考えてもあの会社は宮森が仕切るしかない感じですから。しかも、宮森なら周りがちゃんと盛り立ててくれそうな感じがあるよね」
那瀬「ナベPはナベPで仕事を取ってくる有能さはあるから、Pのままいてもらって、宮森がカレーを作ればいいと思う! これ解決法じゃない?」
没落したムサニが、無茶を乗り越えてあげた復活ののろし。再びの「俺たたエンド」に、みんなの今後の活躍を期待せずにいられません。またどこかで(できればテレビシリーズで)会えることを楽しみにしたいと思います。
(笠井美史乃)