祝福に満ちた宇宙のために私たちは語ろう そこ☆あに『プラネット・ウィズ』特集Part3まとめ

今週の特集は『プラネット・ウィズ』特集Part3です。今期青田買いからトップで特集した作品が、その勢いのまま見事な結末を迎えました。キャラの強い登場人物が大勢いる上に勢力図もどんどん入れ替わり、その上ドラマが濃くて刺さるセリフも多い…そんな展開をうまく繋いでくれる笑いもまた魅力でした。語って読み解くことで、もう一段深い面白さが見えてきました。

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■第9話、けしかける白石に「戦わない」と答える宗矢
蒔田「(銀子と先生が)あそこで宗矢に対して催促しないという態度を取るのが、この作品の、周りが“人間”しているな、というところだと思うんですよね」
たま「私あのシーンを見て、銀子と先生って家族なんだなと思いましたね」
蒔田「あぁ」
たま「銀子とのぞさんてどっちがヒロインなの?という話あるじゃないですか。あのとき見守る立場をとった銀子がお姉ちゃんで、私が守ると言ったのぞさんがヒロインだなっていうのは、あそこで確定したかなと」
蒔田「はっきりした感あるよね。戦わないと言う理由が僕らの方にはちょっと見えてこなかったのが、あれだけ感情を爆発させて」
くむ「自分の復讐は終えているんですよね、宗矢としては」
蒔田「復讐してもみんな帰ってこない、地球で1人という気持ちというのは、やっぱり感じていたんだなという。当然なんですけど、あそこで言葉に出されてようやく気づくみたいなところあって、ハッとさせられましたね」
くむ「宗矢は単純にあの周りの連中に騙されて、戦わされている可能性もあったわけじゃない」
蒔田「銀子と先生がそうしようと思えばできたかもしれない」
くむ「でもあの2人は、常に見守る側に回っていた、ということですよね」

■もし封印されたとして、現実に戻ることを選ぶ思いとは
くむ「8割ってかなりですよね。でも2割は戻ってきていないわけですけど。自分はどっちにいるかなと思うわけね」
丸井「8割は現実に戻りたいというのはすごいなと」
蒔田「戻りたいというのもあるんだろうけど、封印装置で見せられる幻の中に出てくる登場人物って、割と引き止めようとしないじゃないですか。本当に相手のことを思っている」
くむ「そこはリアルだよね」
蒔田「向こうが引き止めちゃったらそれは止まっちゃう人もいるだろうけど。でも逆に、相手のことを思って送り出してくれる人もいる。前に進めるかどうかって自分の決断でもあるけど、周りが応援してくれるかどうかって、なんだかんだで影響でかいよね。それが『ベスが送り出してくれた』というセリフだと思うので。あれで涙腺が決壊してしまった」
小宮「愛を知るためには一度喪失がないといけないのかなと思わせるシーンがあったりとか。戻ってこれる人って、愛があるからネビュラに入れる可能性があったりするところとか。少ない話数でそういうところを描けているのは深いなと思いますね。愛を知って、あたたかいから、誰かに許されたり送り出されるから戻って来れたというのが。地球人が8割戻って来れたというのは、地球があたたかい星なのかな、というのがちょっと感じられて、私は好きです。あのシーン」
蒔田「みんながみんなに優しいんじゃなくて、みんなが好きな人に優しいよね。ということだよね」
小宮「なんか、キャラクターが結構全員わがままだったりするなと思うんですよね。戦う理由とかが。愛ってすごく大きいもののように見えて、自分勝手なものなのかなと思うところもありますよね」
蒔田「そう、だから『俺は俺が味方したい人の味方だ』というのがむちゃくちゃ生きるんだと思う」

■「愛を持って視点を変えれば、見ろ、宇宙は祝福に満ちている」
くむ「それをこの1クールに至る物語の中できちんと描いてきたからこそ、この言葉に対する重みが出てくるわけじゃない」
蒔田「最初に『愛の進化種族』と聞いたときの印象と、見た後に聞いた印象が違うというのはね。すげえなって思いますよね」
くむ「愛の進化種族だぁ? なわけですよ、最初のイメージは。これはそのネビュラが崩壊する話かとまで思っていましたからね、私は。だって、ネビュラ自体が敵っぽく見えていたじゃない、人類側からすればさ」
蒔田「一番最初は本当にそうですね」
くむ「何かの迫害の元に存在してるものなのかと。実際、封印派の行動を考えれば、決してネビュラも一枚岩ではなかったと思うんですけど。先生もその中で戦っていたわけだからね。その結果がこの最終話の結末だと考えると、やられたなって思うよね」
蒔田「閣下だって先生に言われていましたもんね、お前がそれをかぶることはないんだと。結局みんな、自分が一番いいと思うことをやっていたというのがね」
たま「最初の頃は愛という単語が大きすぎてふんわりしているから、どういうふうに扱うんだろうと思っていたんですけど。まずは隣の人を愛しなさいというすっごい地に足のついた話だったのが、すごくいいなって思いましたね」
小宮「視点を変えて見れば、という表現もいいですよね。愛とだけ言っちゃうと薄っぺらいところが、視点を変えてというのが個人に寄り添っている感じがして、リアリティがあるなと思います」

それぞれ違った背景を持ち、違った正義を持ったキャラクターたちの物語が、1クールを経て大団円を迎えました。短いけれど、体験した時間は長かったのではないでしょうか。自分の正しさが世界に拒絶されていると感じたときに、きっと強さをくれる作品だと思います。今から一気見もおすすめですよ!

(笠井美史乃)

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