3部作完結! アニゴジとは一体何だったのか? そこ☆あに『GODZILLA 星を喰う者』特集まとめ

ついに完結しました、アニメ版3部作。今回は『GODZILLA 星を喰う者』特集です。2017年11月の第1章公開から1年。賛否両論巻き起こしてきましたが、歴史と人気のあるコンテンツだからこそ、異質な要素が必要なのかもしれません。そこあにスタッフはどう読んだのでしょうか?

トークには作品の結末に触れるネタバレが含まれます。気になる方は鑑賞後にお楽しみください。

そこあに「GODZILLA 星を喰う者」 #557
「そこ☆あに」557回目は『GODZILLA 星を喰う者』特集です。 アニメ版ゴジラは全3部構成、2017年11月17日公開 第1章「GODZILLA 怪獣惑星」、2018年5月18日公開 第2章「GODZILLA 決戦機動増殖都市」。そし...

■異端児・アニゴジは、Gガンダムなのかもしれない
くむ「思うんだけど、とにかくこの作品、人を選ぶよ」
たま「うん」
蒔田「本当、そう思う」
くむ「好きな人はいろんなアラもありながらも楽しめる映画だと思うけど、ターゲットの範囲がめちゃ狭いよね」
蒔田「その狭いところに僕は当たっちゃったので。見終わった後はすごいテンション高くて、みんな見ようよ!って思ったんですけど。考えれば考えるほど、これダメな人多いな、という結論しか出てこないんですよね」
たま「わかる。そこはちょっと許せないです、みたいな感想を聞いて、あぁそれもわかってしまう…ということはあったので。しかも、みんなが花形だと思う部分をあえて削ぎ落としているから、それは怒る人いるよね」
くむ「『決戦機動増殖都市』だって、結局メカゴジラとしては一切出てこず。ああいうことやっちゃうわけですよ、このスタッフは」
たま「裏を返せば、花形な部分を削ぎ落としてもこんなに魅力的なものがいっぱいあると気付かせてくれたので、すごかったんじゃない?と思うんですけどね」
蒔田「僕は、普段はあまり周りの感想を見ないでしゃべろうと思っているんですけど、今回はちょっと見て回ったんですよ。それで感じたのが、このアニゴジってガンダムでいうとGガンダムとかウィングとかXとか、あのへんのアナザーガンダムが出てきた状況と似ているんじゃないかと思って。宇宙世紀大好きな人たちだと、Gガンダムとかウィングは嫌いどころか存在してはいけないくらいの勢いで嫌がる人もいたじゃないですか。僕もGガンダム出た時はその一人だったんですけど…」
たま「あれは相当のブレイクですもんね」
蒔田「それをゴジラでやった。Gガンダムやウィングはモビルスーツで戦闘するという要素は残していたけど、アニゴジは削ぎ落としたのでさらに間口が狭くなったのかな、という」

■この物語を「ゴジラ」で描くことの意味を求めて
丸井「過去のゴジラ作品にも興味が出てきました」
蒔田「ゴジラという存在がそもそもどういうものかは、1954年版のゴジラを見るのが一番わかりやすいと思うよ。あれはすごくよくできた映画なので」
くむ「多分、それだけ見ておけばとりあえずいいんじゃないかな。アニメも含めて、いろんなところに要素が入っていたりする、基本なのかなという感じはありますよね」
丸井「なるほど。初代のタイトルって『ゴジラ』だけですか?」
蒔田「そうです。でも『ゴジラ』というタイトルの映画はいくつかあるから。だから1954年版と言ったり、初代と言ったり」
たま「初めて見た人にこういう形でフックになったなら、この作品は成功したのでは、と思いますね。なぜゴジラなのかという疑問にたどり着いてくれたのなら、すごく意味があるんじゃないかな。初めて見た人をターゲットにしていると思うので、Netflixのリファイン系の作品て。じゃあその新しい表現を見た上で、最初はどうだったのと思わせたら勝ちじゃないですか」
蒔田「そうですよね」
たま「昔の作品を見るってすごくエネルギーがいることだから」
くむ「特にたくさんある作品はね。最初から見ればいいと言われますけど、白黒から見るの?というのはやっぱり、若い子には当然あると思うので」
丸井「作品が多すぎて、最初から追うには…。抜粋してもらいたい」
くむ「そういう意味で、初代を見るきっかけになればそれは意味があるゴジラだったんじゃないのかなという気はしますよね」

■今回はメトフィエス劇場でしたよね!
たま「ある種のマインドコントロールじゃないですけど、相手にそうかなと思わせる話術の粋を極めたような喋り方をしていたから、え、すごいと思って。ちょっと心が揺れるかもしれない、という説得力を演技で見せたくれた感じはしましたよね」
くむ「もう絶望の域にいるわけですよ、人類は。そういう心の弱っているところにスッと入ってくるわけですよね」
蒔田「ゴジラをどうにかしようと思ったら、頼るのはメトフィエスしかいなかったですからね。メカゴジラもなくなって、装備もなくて。そんな奇跡が実際にあったんですか?じゃあ!ということでしょ」
くむ「みんなが呼んでいたわけでしょう、新たなる神の登場を」
蒔田「意思の統一なのか、本気度なのか、そういうものが条件の一つだったわけですよね、ギドラを呼ぶための。で、ゴジラに対してすごい憎しみという心のエネルギーを持つハルオがいて。そのハルオがメトフィエスにとってすごく価値のある、大切な存在だったという」
くむ「だから最後、抱き合ってましたけど、あれは事実なんですよね。あのお互いの気持ちというのは」
たま「最初から騙してやろうとかじゃなくて、純粋に彼のことを思って行動していたけど、ただ致命的にすれ違っているという形だったから。だから最後のお別れはああいう風にはなりますよね。だってお互いに友人だったんだもん」
蒔田「ハルオはすごく頼っていたもんね。一人になったときも、ハルオは『メトフィエス』ってぽそっと口に出してしまうくらい、こんな時にあいつがいてくれたらな、という位置にいたわけで。メトフィエスだって、あれだけ周りに冷静なのに唯一感情を乱したのはハルオがゴジラに勝てないと言った後でしょう」
たま「めっちゃ怒ってたもんね」
くむ「脚本、うまいと思うんですよね。そういう部分の描写が」
蒔田「ただ、キャラクターに対する扱いが冷酷という」
たま「それは昔からだからね!」

物語の描きたかったものが明らかになった今、第1章から見直せばそれぞれのキャラクターのセリフや行動に違った意味が見えてくるかもしれません。最初は人類VSゴジラのように見えていた戦いでしたが、本当は一体何と戦っていたのか…繰り返し視聴できる配信が前提だからこそ描けた、奥行きのある物語だったと思います。でもギドラの衝撃を体感するなら劇場がおすすめです。ぜひお急ぎください!

(笠井美史乃)

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