世界を見据えたJapanのアニメ そこ☆あに『B: The Beginning』特集まとめ

Netflixオリジナル作品から2作目! 今週は『B: The Beginning』特集です。映像配信サービス戦国時代となっている現在、あまりアニメ配信に強いイメージのなかったNetflixですが、ここへ来てドラマやドキュメンタリーと同じくアニメでもオリジナル作を打ち出す流れになっています。過去作品や放送中タイトルの配信数もどんどん増えていて、期待値高いサービスになって来ました。そんな中で、『B: The Beginning』はスタイリッシュな海外ドラマテイストも入れつつ、いかにも日本のアニメらしい設定や表現を押し出した作品として、世界にどう受け入れられるのかも興味深いですね。

まだご覧になっていない方のために、前半はネタバレなしでお届けしております。ネタバレを避けたい方は23分10秒あたりまででいったんストップしていただくのがオススメです。

そこあに「B: The Beginning」 #521
「そこ☆あに」521回目は『B: The Beginning』特集です。 群島国家「クレモナ」を舞台に、王立警察特殊犯罪捜査課へと戻って来た天才捜査官キース・フリックは、凶悪犯罪者ばかりを狙う連続殺人鬼、通称『Killer B』の謎を追う。...

■どんな作品なのか、一言でいうと?
美樹「難しいですねえ(笑)。でもまあ、主人公は特殊犯罪捜査課に戻って来た天才捜査官のキースですよね。連日おこるキラーBという犯人が関わる残虐で不審な事件を追って行くという感じで。前半は一つひとつの事件を追って行くわけじゃないですか。解決しているように見えて、実は大きな事件に関わっている、全ての事件が繋がって行く気持ち良さ、みたいなところですよね」
くむ「最初に見た感じは海外ドラマっぽいなあという。事件ものや探偵ものっぽい感じを受けるなと思いながら見始めたんですけれども。ただ日本人が作る海外ドラマ風のおしゃれ作品ではなかったね」
美樹「ああ、確かにそうですね」
くむ「一瞬それっぽく入って、かっこいいと思いながら見ていたんですけど、物語的な部分を含めて、日本のアニメ!っていう感じの良さが出てくるでしょ」
美樹「いいところ、美味しいところを洋ドラ風に、みたいな。うまいとこ取りしているんですよね」
くむ「この作品て日本以外でも同時公開なので、英語、ポルトガル語のセリフが入っているんですよね。字幕も5ヶ国語が最初から用意されているという。だから世界同時に見れるわけですよね。ということは、日本のアニメに何を求められているのか。やっぱりあるわけじゃない。いわゆる日本の深夜アニメを見て喜んでいるアニメファンがいるわけでしょ、世界に。だから、その層に合いそうなアニメというのをきちんと作ったのかな、という感じがする」

■警察推理ものと日本アニメらしい伝記物のタッグ
たま「役割分担がしっかりしているじゃないですか。バトルアクション系のところは黒羽くんが担当しているし。相棒も跳ねっ返りの若い女の子とおじさんの凸凹コンビで組んで、みたいな」
くむ「そしてそれをバックアップする同じ署のメンバー、みたいな感じですよね」
たま「すごくよく機能しているじゃないですか、このチーム」
くむ「いわゆる警察推理ものの部分以外に、伝記物っぽいような、能力とか変身とか、そういう要素も入って。逆に警察の部分の話をリアルに描けば描くほど、物語的に違和感が生まれるのかと思っていたんですよ。ある種ファンタジーじゃん、伝記っぽい部分が」
たま「そうですね」
くむ「ところが、シリアスな部分とファンタジーの部分の噛み合わせが、こんなに良い。それを見たときに、日本のアニメを好きでいてよかったなと思わせる組み合わせになっているというのがね」
たま「こういう組み合わせあるんだ、っていうのは、すごく新鮮に映りましたね」

■一気見したい&一気見できる、需要と供給
蒔田「あからさまに前の事件と今回の事件、後ろにいる人は同じですよと同時並行で見せてくれるから気持ちが切れないというか。今回の事件は今回の事件として気持ちを入り込ませなきゃいけないという作業がないので、かなり繋がって見られる。だから1話見た後に次を見にいくのがすごく楽」
くむ「Netflixのいいところというか、怖いところというのか……。再生しだしたら止まらないっていうね」
たま「Netflixって、オリジナルタイトルは公開日に全話見られるじゃないですか。そういう意味では、一気見したくなるタイプの作品てすごく向いているかなと思うんですよね」
くむ「そんな作品だったと思います。これは特にね」
蒔田「最近の深夜アニメだと、日常系だったりとか、ラノベのアニメ化だったりで、話が1話で終わるか、ストーリー物でも全部の完結にはならない、という」
くむ「終わってないもんね、最終回で」
蒔田「原作が終わっていないから当たり前の話なんですけど。やっぱりこう、この話はちゃんと終わるじゃないですか。最初から12話で作るという企画なので」
くむ「そうですね」
蒔田「とりあえず12話まで行ったら終わるから全部見る、っていう。そういう安心感もに繋がってくるなと」

特殊犯罪捜査課チームと敵対する組織、それぞれに登場人物が多く、全12話の中ではお当番回を回す時間もありませんでしたが、各キャラの才能や能力がうまく発揮され、魅力が十分に伝わって来ました。Production I.G 石川社長のインタビューによると、続編の可能性もあり得るというお話でしたので、いつかRISチームのさらなる活躍を見られる日を楽しみにしたいと思います。まだ「Beginning」ですからね!

(笠井美史乃)

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