今週は、今期新番組からの2作目『ランウェイで笑って』特集です。テーマや絵柄から少女漫画かと思いきや、原作は週刊少年マガジン連載。プロの厳しさ、自分に“ないもの”との戦い、それを乗り越える強さとは…。第3話で迎えたアツい展開、さらにキャラクターも増えて、今まさにグイグイ引き込まれる状態になっています!
■ファストファッションの時代に描く、オートクチュールの夢
くむ「この時代にこのタイトルが出てきたことが、個人的には驚きかなあと思います」
たま「原作者の方のインタビューで読んだんですけど、少年誌でスポ根的なことをやりたいけど、男女が共に同じ土俵に立って切磋琢磨できるジャンルというとファッションなのでは?という思いつきから始まったというのが、すごくなるほどね!と思ったんですよ。そういう意味で、ちょっと特殊かもしれないけど面白いジャンルを選んだ作品ですよね」
くむ「デザイナーが人気職業だった時代があるんですよね。モデルは今でももちろん人気だとは思うんですけど。でも、やはりファッション自体に元気がない時代だと思うので。業界に絡んでいたこともあるからなおさら思うけど、本当、物が売れない時代ですよ」
たま「なかなか、ファッションまでお金を回す財力がないというのが痛いところじゃないですか」
くむ「そうなんですよね。世の中に余裕があるかないかというところはやはり大きくて。昔はバカみたいに売れてた時代があるわけですよね。私はそういうところにいたからなおさら思うんですけど。辞めたのは結局、ユニクロの台頭以降これは無理なんじゃないの?と思い始めていた頃でしたから。昔人気だったブランドが、名前そのままでどんどん他の企業に買われていったりとか、普通にしてましたからね。だからやっぱり時代の中で消えつつあるもの…なのかなぁ」
たま「だからこその輝かしい夢なんですよ、この作品」
■キャラクターが増え、才能のぶつかり合いも見所に!
たま「(育人は)パタンナーの才能がある子なんですかね」
くむ「得手不得手、得意分野がありますからね。実際に作中で、柳田はデザインはできるけど一切縫えないわけで。いろんな能力が合わさって仕事ってできるんだな、ということも学べますね」
米林「森山さんが退職して、その後に入った育人がもし才能がなかったら、夢の線引きとかも難しくなってくるだろうし。そういうところも見ていてよかったなぁと思いました」
くむ「育人だけじゃダメだったわけだよね。いいタイミングでヘルプが入ってくるのは漫画らしいといえば漫画らしいんですけど(笑)。でも、一癖二癖あるやつが入ってきましたね」
たま「あいつ、完全に引き抜きに来てますからね」
米林「本当、展開が楽しみすぎて」
小宮「綾野遠を見ていると、これ少女漫画だったらこの人がヒロインの好きな人だったりして、ライバルになっているんだろうなと思って。ちょっと面白かったですね」
たま「ヒーロー役っぽい感じの立ち回りな気がしますね」
小宮「そう、最初はいがみ合っていて、みたいな。でもこの作品は違うからね、今後どうなるのかなと。心ちゃんも気になりますし」
たま「心ちゃんには折れないでほしいな。森山さんの退場を見ているだけに。今すごく、あの中でチャンスを掴めないでいる子だから、頑張っていってほしい」
■このダブル主人公なら、あり得ないことが叶うかも
たま「千雪がいなかったら、育人はもう全然序盤で折れてますからね。彼女が連れて行ってくれたということですよね。逆も然りで、千雪はどうにか高身長の人に似合う服を着てオーディションに挑むみたいなすごく辛いことをしていましたけど、似合う服を着て出るということに気が付いたのは、育人と出会ったから。お互いにお互いと出会わなかったら、多分潰れていたんですよね」
くむ「マイナスとマイナスだったわけだからね。実力はあっても何かが足りないという状態。千雪の場合は身長なわけですけど」
小宮「158センチって、すごい微妙な身長だなと思って。モデルだと170でも小さいなって思うじゃないですか。でも158じゃ絶対モデルというイメージはない」
くむ「まあ結局、モデルとしてやっていけるかどうかといったら、やってはいけるわけですよ。今時のファッションなら別に彼女の身長でもありだと思うし。問題は、目標がパリコレモデルだからね」
たま「そうなったらあまりにも大きいハンデですね」
くむ「そうなんですよ。ということは、まさに、育人が、パリコレに出ればいいだけの話ですから」
小宮「そうですよね。パリコレで全然知らない158センチのモデルは絶対起用しないと思うので。この人のため作った、この人に着て欲しい服でないと絶対出れないじゃないですか」
くむ「そう、だからもう見えてますよ、先が」
小宮「ランウェイで笑うのはありえないことだと3話で言っていましたよね。もちろん漫画なので実現して欲しいと思いますけど、実際のモデルの世界でも、パリコレで158センチみたいな人が見れる世の中になったらいいなと、ちょっと希望を持ってしまいましたね」
くむ「身長が低いからという理由でNGになるのか、今の時代に、と思いはするんですけどね」
たま「だからこそ、誰かが常識を打ち壊してくれることを待っているんだと思うんですよ。その最先鋒になってほしいという気持ちを込めてしまいますね」
青春の熱さ、まっすぐさもありながら、お仕事ものとして大人が見ても共感や興味をかき立ててくれる物語になっています。才能あふれる新キャラの駆け引き、逆にファッションに縁遠かったキャラの視点など、さらに奥行きが増して今後の展開が楽しみな作品です。
(笠井美史乃)