2クールたっぷり楽しかったですね。今週は『ルパン三世 PART5』特集Part2です。『PART4』を観てルパンは今でも面白い! と思っていましたが、今回はきっちり現代(直近の未来?)での活躍を見せてくれました。キャラクターの関係性を見つめ直しながら新しい形を作り上げ、歴史ある作品の在り方・生き方をも考えぬき描き切った、熱のこもったシリーズでした。ということで、今回は大きなネタバレなしでトークをお届けしておりますので、また観ていない方はぜひ!
■物語として現代を生きる強さはあるのか
くむ「今までも少しずつは(時代を)取り込んではきていたんですけど、ルパンとの相性が合うのか合わないのか(という問題)は確実にあったと思うんですよね」
蒔田「言い方を悪くすれば、都合のいいところだけ取り込んで、ルパンたちが不利になったりするところは避けてきた、みたいな面はありましたよね」
くむ「結局、大泥棒の世界みたいなものと現代のSNS時代との相性って、根本的には決して良くないと思えるじゃない。で、現代のハイテク機器に守られた金庫とかそういうものが、ルパンなら解除できるだろうというのとはね…。ルパンがいくら天才であれ、ハッカーの世界とは違うわけじゃない」
蒔田「パソコンでカタカタやっているのがメインのルパンを見たいかと言われると、ちょっと違うんだよな、っていう」
くむ「合うのか合わないのか。でも合わなければもうルパン三世という物語が、新しいものとして作れないんじゃないのかなと。多分、時代の中に取り残されている作品みたいになりかねないと思うんですよね」
蒔田「そうですね。そこを納得させる描写で取り入れてきたから、まだまだ『ルパン三世』というシリーズは通用するんですよ、というのが今回見れて、すごい楽しかったです」
くむ「それを冒頭の3話くらいですでにやってくれたという感じはよかったよね」
蒔田「だから割と安心して飛びつけたというのがいいですよね」
■世界が広がる、新しいレギュラーメンバー
たま「八咫烏(やた)君は銭形のファンの鏡ですから。あんなに銭形警部のことを好きな相棒ができて、今回のシリーズよかったんじゃない?って思いますよ。ずっと一人だったじゃないですか。スペシャルではたまにありましたけど、ずっといてくれる男の相棒というのはいいと思いました」
くむ「パート4からそうでしたけど、ルパンファミリーだけじゃなく、ルパンの世界に必ず存在しているという人物がどんどん増えてきてほしいと思っていたんですよね。物語を広げるのに新キャラクターを出していかなきゃいけないわけじゃない。でもそのキャラクターは今までは1シーズンで終わっちゃうんだよね。そういうやり方もあるだろうけど、やはり思い入れってすごく大事で。ここまで好きになった、でも1シーズンで終わりですというのはやっぱり寂しいよね」
蒔田「そうですね。もう出てこないな、というのは」
くむ「なんとなく(存在を)匂わせるサービスはあったとしても、基本サービスだったわけじゃない。だから、今後もやた君は銭形の部下であってほしいし」
蒔田「アミもレベッカもいてほしいし。アルベールもどこかで悪役やっていてほしいんですよね」
くむ「そう、何かの時にふっと現れてほしいわけですよ。長いシリーズだからなおさらなんでしょうけど。このキャラクターまた見たいって思わせてなんぼだと思うんだよね。それが今回はかなり成功しているんじゃないかな」
■ルパンファミリーとは?
くむ「今回は本当にもう一度ルパンファミリーを、再構築…というより描きなおすというお話だったと思うんですよね。だからこそ、ルパンと次元、ルパンと五ェ門、ルパンと峰不二子、ルパンと銭形、みたいな一人ひとりとルパンとの関わりをもう一度見せてくれた流れがあったので。ルパンがその中で傷つくことというのは、やはり必要だったと思うんですよね」
たま「一人でなんでもできちゃうヒーローじゃないという描き方をしているから、これまで会ってきた全ての人が宝物というか。“コレクション”という話あったじゃないですか、五ェ門の最後のエピソードの時に。手に入れたお宝である、ということなんですよね」
蒔田「金銀財宝じゃなくて、本当に人生の財産みたいな、そういう意味での。重さがあるコレクション。エンゾが話しているコレクションとルパンのコレクション、意味合いが違うというところがね、見ていて面白かった」
たま「それがみんな現在進行形で生きて活躍している人たちだというのが、今回みんなが助けてくれる流れに繋がっているとも思ったから。今回のエピソードのあり方としてすごくしっくりくるなと思います」
くむ「まそれでもですよ、五ェ門が常に悩んでいたりとかですよ」
蒔田「あそこはほんと、五ェ門に対する、見ている人のイメージですよね」
くむ「五ェ門てまさにああだったじゃない、今までも」
蒔田「可愛いな」
くむ「そこが愛されるキャラだよね」
たま「私のことをどう思っているのと、みんながルパンに対して問いかけてきますけど、その解は今回以降の話で彼らがどうなっていくのか、見ている方へのアンサートーキングかなという風にも思ったので、結構大事なことかなと感じました」
くむ「それを通してルパンファミリーってこうなんだ、というものを描いたんだよね、今回は。だから、まさにルパンの今までを知らなくても、パート5から入れば次を見続けることができるような、いいまとめのシリーズだったんじゃないかと思います」
小宮「私もここから気になって、昔のシリーズとか設定とかを調べたので。戻って知ろうとする人もいれば、パート6、7に繋げてもいけるような位置付けの作品になっていたと思います」
2018年に現れたルパンファミリーは、これまでの『ルパン三世』シリーズをそっくり盗んでいってしまいました。盗られてしまった“昔のルパン”は、我々にとってもう思い出でしかありません。うわ、やられた! と思ったらヤツらの思うツボ。“今のルパン”が次は何を盗み出してくれるのか、楽しみに待つしかありませね!
(笠井美史乃)