穴の底を見て見たい…探究心そそるダークな冒険譚 そこ☆あに『メイドインアビス』特集まとめ

青田買いでは、絵はカワイイけど話が怖いと評判でした、今週の特集は『メイドインアビス』です。一見すると確かにほんわか冒険譚な印象のビジュアルですが、中盤に入ってアビスとそれに関わる者たちのそら恐ろしさがじわじわと滲み出てきましたね。怖いけれど、見るほどに真実を知りたくなる作品です。

そこあに「メイドインアビス」 #493
「そこ☆あに」493回目は『メイドインアビス』特集です。 原作は竹書房WEBコミックガンマ連載つくしあきひとによる漫画。 探索されつくした世界に、唯一残された秘境の縦穴「アビス」。その大穴の縁に築かれた街では、アビスの謎や現在の技術では造る...

■世界観がすごい! インパクトある第1話
くむ「第1話、すごかったですね。劇場で見たいと思える作品だったと思うんですけど」
那瀬「すごい世界を作ってくれたなと、素直に受け取ることができて。穴スゲエ!ってなりませんでした?」
くむ「それこそ、映像の破壊力ですよ」
那瀬「そう、本当にすごいなと。新しいものを見た気がしました」
くむ「昔からファンタジーってこういう要素を持っているはずのものだったのに、最近はどうしても、ある種似たような作品が増えていたのも事実だと思うんですよね」
那瀬「そうですね、元々は自由度の高いものだったはずですよね」
くむ「ただやっぱり、だからこそこの世界を描くのがどれだけ大変かってことですよ。ここまで作られると、1話の段階から物語世界に入りこまされるよね」
美樹「世界観もですけど、そこに住んでいる人たちの生きる目的というか、生活感がすごくわかるというか。多分、基本的に生活するためにアビスは必要なもので、探掘家にならなきゃいけない、みたいな。そういう当たり前がすっと受け入れられるくらいに世界観が作り込まれていて。キャラクターとか生きているものたちも作り込まれているという感じがすごくしますね」

■我々の感性に一番近い? レグはどこで誰に作られたのか
くむ「人を食べる鳥がいたじゃないですか。あの鳥を料理したときに、自然の厳しさっていうものをすでにこの子達はちゃんと理解しているっていうのかな」
美樹「あれちょっと、自分だったらどうなんだろうと考えちゃいましたね」
たま「孤児院の子供達はみんな、そういうものだってわかって食べているって言ってましたからね」
くむ「あれはレグがそれを理解していなかったからそのように疑問を持ったということであって。孤児院の子供達ならあまり意識していないことなのかもしれないね」
たま「そう、そこなんですよ。逆に、レグは何であんなに微妙な反応してたんだろうって。他の人たちはそれが普通だと思っているのに、じゃあレグってどこからきた人なんだろうっていうのがすごく気になりました」
美樹「なんかすごく人間らしくて、むしろ見ているこっちの気持ちに近くないですか? ひとつ一つのことに驚く感覚が共感できるというか」
くむ「作品的には、リコたちよりもレグの方が気持ちを投影しやすいようなことになっているのかもしれないですよね」
小宮「ただ、それがロボットというところで、じゃあ誰が作ったんだろうというのがすごく疑問で。この子はどこで作られて、でも特級遺物ということは……と、どんどん疑問が大きくなってきますよね」

■キーパーソン、白笛のオーゼンさん……怖っ!
くむ「まず何よりも、声優さん、大原さやかさんなんですね。いつも柔らかい感じの声が多い大原さんのあんな声を、私初めて聞きました」
たま「初めて見たときは、絶対悪い人だなって思いましたよ。怖かったもん」
くむ「あの厳しさって彼女なりの優しさの裏返しだとは思うんですけど、でもそれで死ぬようだったら本当にいらないって思っていそうなところがあるじゃん」
那瀬「でも、その冷淡さがあの世界での強さなんだろうなっていう説得力もありますよね」
くむ「基本的に怖い人ではあるんだろうけど、実は仲間を配置して彼らの様子をずっとうかがっていたところが、なんか教師としての能力もある人なんだなって思いながらね」
たま「危機管理をするリーダーの素質がある人なんだろうなと思いますね。隊を率いて潜るから、自分より実力がない人を守る術っていうのは知っているんじゃないかなと」
くむ「切り捨てる時は切り捨てる強さも持っているとは思いますけどね」
たま「多分、ライザとの約束がなければあそこまで親身になってくれないんじゃないですか」
くむ「でしょうねえ。オーゼンとライザとは、かなり深い関係だったというのが語られていましたからね」

最初はただの無理無謀に見えたリコの行動にも、徐々に納得させられる展開になってきました。むしろ、怖いけれど見てみたいという我々自身の探究心が、リコに近づいてきたのかも? 数ある謎の秘密ももちろんですが、まず次の下層がどうなっているのか、何が起こるのか、楽しみに待ちたいと思います!

(笠井美史乃)

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