ドラマ世界のエッセンスを凝縮したスピンオフアニメ そこ☆あに「オルタード・カーボン:リスリーブド」特集まとめ

今回は、Netflixオリジナル作品『オルタード・カーボン:リスリーブド』特集です。同じくNetflixのオリジナルドラマシリーズ『オルタード・カーボン』のスピンオフ作品となる、1話完結(74分)の作品です。独自の世界観をうまく生かしながら、ドラマ版を知らなくても楽しめる物語。見応えある3DCGや、サイバーパンク的ジャパニーズなセンスも見どころです。

そこあに「オルタード・カーボン:リスリーブド」特集 #631
「そこ☆あに」631回目は『オルタード・カーボン:リスリーブド』特集です。原作はリチャード・モーガンによるサイバーパンクSF小説シリーズ。Netflixオリジナル実写ドラマ版として2018年から配信開始、現在シーズン2まで配信中。今回の特集...

■Netflixオリジナルドラマ、入門編としても最適なアニメ版
くむ「実写版が結構好きで。若干B級感はあるんですよ。めちゃくちゃ面白いというんじゃなくて、じわじわ面白いという感じのドラマだったので。でも、シーズン2までちゃんと見続けてしまうような面白さはあったんですよね。ただ、特にドラマ版はそうなんですけれども、この物語でキーになる『スリーブ』と『スタック』というのがね。魂をチップみたいなものにしてしまうわけですよね、スタックという。で、スリーブは、いわゆる肉体なんですけど。それがあれば、スタックを入れ替えることで性別年齢関係なく身体に入ることができる仕組みになっているんですよ。攻殻機動隊でいう義体みたいなものですよね」
那瀬「そうですね。設定自体にややこしさを感じることはなく、すんなり見ることはできましたね」
くむ「それは、アニメ版に関しては1体だからですよ。ドラマ版は物語の中で入れ替わるので。しかもシーズン1とシーズン2では主人公が違いますから」
那瀬「主人公が違うというのは…」
くむ「ボディが違うんですよ」
那瀬「スタックは同じ人なの?」
くむ「そう。だから魂は同じでも、見ている側は何をもってタケシ・コヴァッチと認識するかですね」
那瀬「確かに、あやふやになってきますね」
くむ「そうでしょ。そこが面白さでもある。でも、見ている認識としては別の役者さんなわけですよ。日本語版では声優さんも違う。そこを認識して楽しまなきゃいけなんだけれど、受け入れる受け入れないという部分に時間がちょっとかかるかな」
那瀬「う〜ん」
くむ「100%面白い、とはなかなか言いづらい部分もあるというさ。見ていて自分が受け入れる前に、ネトフリは次のエピソードに進んでいっちゃうじゃない」
たま「そうなんですよ。咀嚼する時間がちょっと必要だなと思いました」
くむ「本当は毎週見ていれば納得できるのかもしれないけど、配信で一気見しちゃうと、途中でね、この人はこの人なんだけど…とかいうことがね。そこが面白さなんだけれど」
たま「そういう意味では、このアニメは入門編としてすごくわかりやすくできているなと思いました」

■不老不死が手に入るからこそ、死ぬことに意義を見出す
那瀬「身体が入れ替わるということは、要は不老不死を手に入れているわけじゃないですか。でも、不老不死が手に入るからこそワシらは死ぬんや!っていうのに、かっこいいっス!ってついていくのはすごくヤクザっぽいし。見事な設定だなと思いました。だからこそ忠義があるって、すごい納得した」
たま「ね。ヤクザが命をかけるとか、すげえって箔をつけるみたいな要素が、基本身体が死んでも魂は死なないという設定があるせいで、どれも軽くなっちゃってるから、本当に死ぬことに意味を見出しているんだろうなという感じを強く受けますね」
くむ「まあ、嘘なんだけどね」
那瀬「そう!あの裏切りったらないよね、と思いますよ」
くむ「そのために、お前死んでこいや、と言っていたわけですからね、鉄砲玉達に」
那瀬「まじ許せないですけど、すごい人心掌握の仕方考えたな。わりと、初代のあいつ、すげえなと思いますよ」
くむ「よくよく考えたら、自分は死ななくても全然問題なかったわけじゃない。でも、彼らをまとめ上げるためには死ぬことが必要だったわけですよね。死なない世界だからこそ。よくこの話、原作にないものを、らしく描きましたよね」
たま「サイバーヤクザ、新ジャンルですよ。ちょっとこういう作品また出て欲しいな。面白かった」
那瀬「初代水本組のとうちゃんは、三人分くらいは演じてきたわけでしょ。笑い方という穴はありましたけど」
くむ「でも、中身の魂は歳をとっているわけだから、そんな、若いカッコつけた男を演じられるのか、という」
那瀬「そうなんですよね。それはちょっと疑問に思った。若頭、性格変わりました?って言われなかったのかな」
くむ「好きなもの変わりました?みたいなね」
那瀬「でもほんとに、登場したときの笑い方、すごく印象的だったじゃないですか。私その時点で、笑い方独特、とメモしていて。それが最終的に仕掛けになっていたというのは面白かったですね。演技力も素晴らしいなと思いました。ちゃんと同じ親分なんだというのがわかったから。お二人とも凄かったなと思いますね」

■見た目を信用できないヒトよりもAIに愛着が湧きます
那瀬「私のメモには鷗外萌えって書いてあります」
美樹「わかる、大好き!」
たま「可愛かった」
くむ「シリーズの特徴かな。ドラマの方にも、ポーというキャラクターが出てくるんですよね。ホテルのAIで」
たま「文豪の名前がモチーフになっているんですね、AIは」
くむ「私の中では彼が出ているからずっと見続けている感はありますね」
たま「なるほど。私も見たのは1話だけなんですけど、この時点でだいぶ可愛いなっていう感じはしていましたね」
くむ「可愛いですよ。恋もしますよ」
美樹「へええ。電脳になった人間と、こっちはAI、人工知能なわけですよね。なんか、この違いが、人工知能の方に惹かれて可愛いってなんなんだろうって思いますね」
くむ「AIは見た目が変わらないわけですよ。他の人たちはスタックで変わっていくわけですよね、ボディが」
たま「そういう意味では、より一層人間らしいのはもしかしたらAIの方なのか、ということになるんですね
くむ「そう。キャラとしても変わらないから。成長は少しずつ成長するんだよね、AIだから。でも、人ではないわけですよ、彼らは。でも人は、いくらでも取り替えが効くんですよ、見た目がね。だからね、シーズン2を見終えた時に、やはり自分はポーが好きだなと思って。だから見続けられるなと思ったので。そう思っていた後にこの作品を見て、中田譲治さん、美味しい役やってんなと思いながら」
美樹「そう思うと、初代組長みたいに人間は裏切ることをしてしまうけど、AIは裏切らないし、常にホリーは私の友達ですと守ってくれたところとかが、たまらなかったですね。AIの方が信頼できる」
くむ「そう、そういう部分はきちんと、うまくつなげていたなと思いました。だからちゃんと、ドラマ版の設定とか全て把握した上で、アニメが作られているなというところの面白さではありましたね」

現在のテクノロジーからするとちょっと離れた世界に見えますが、SFだからこそヒトの認識や価値観を問われる面もあります。ネトフリはアニメ中心な方も、これを入り口にドラマ版も視聴してみてはいかがでしょうか。

(笠井美史乃)

■Netflix「オルタード・カーボン: リスリーブド」 https://www.netflix.com/jp/title/81001991

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