闇の中に星があるよう、祈らずには見られない そこ☆あに『星合の空』特集まとめ

今週の特集は、今期新番組から『星合の空』です。青田買いでもピックアップしましたが、さわやか部活もののような見た目に反してなんとも闇の深い内容に、見た人全員衝撃を受けた作品です。プレーの描写が素晴らしい部活ものであると同時に、みんな闇が深くて心のザワつきを止められません。アニメのリアリティについて、見たことのない視点をくれる作品です。

そこあに「星合の空」特集 #608
「そこ☆あに」608回目は『星合の空』特集です。「ノエイン もうひとりの君に」の赤根和樹 監督・脚本によるオリジナルアニメ作品。舞台は夏の大会で最低一勝しないと廃部になることが決定した男子ソフトテニス部。キャプテンの新城柊真は、転校してきた...

■中学生ならではの部活「ソフトテニス」の魅力
くむ「1話から各部員問題だらけなわけですけど。それでも眞己に発破をかけれられたおかげで、基本を思い返したりしているわけじゃないですか。もともとやる気もなかったわけだからね、全体的に。それがやる気を出してくるまでの流れは、完全にスポ根ものですよね」
美樹「これは強くなっていくやつじゃないか、って思いますよね」
くむ「普通だったらね」
美樹「でもその期待を、全面にできない不思議な作品だな、っていう」
くむ「単純にスポーツものという部分だけで考えたら、めっちゃよくできてるよね。競技の描写が徹底しているという部分も含めて」
美樹「そもそも眞己自身もお金でやってたわけじゃないですか。でもあれだけ練習メニュー考えたり、みんなの性格考えてペア組んだりして、きっと眞己自身もソフトテニスの魅力に気づいたんだろうなって私は思っていて」
くむ「そうでしょうね」
美樹「だから面白いんだよ、というね。経験者としては、その面白さがちゃんとアニメで表現されているというのが嬉しいですね」
くむ「ソフトテニスって中学までなんだよね」
美樹「そこが面白いですよね。それを極めたとしてもプロになれるわけではない、けど、本当に自分の全てをかけて部活ってやってたなっていう」
くむ「乗り換えていくんでしょ、硬式のほうに」
美樹「普通はそうですね。でも私は高校でもソフトテニスやりたかったんですけど、なくて。硬式は全然違うんですよね、打っている感覚が」
くむ「ソフトテニスのボールって飛ばないよね、そんなに」
美樹「そうですね。でも逆に、すべての力をかけるとすっごいスピードがでて、そのままが伝わる感じが気持ちいいんですよ。軽いからこその魅力だなと思って」
くむ「それが映像としても現れているわけですね」

■みんな問題ありすぎな部員たち、そしてラスボスは…
小宮「この作品、人と違う点、マイノリティーな部分をみんな持っているなと思っているので。そういう意味で悠太は家庭環境ではないところのように見えて。今の段階ではわからないですけど。他のキャラクターに関しても、マイノリティーな部分が描かれてくるのかなと思って注目して見ています」
くむ「ここまできたら悠太の家庭もなんか問題があるよ、多分(笑)。だって生徒会長にすらあるんだからさ」
美樹「生徒会長は最初から存在感すごかったですからね」
くむ「この子CV坂本真綾なんだ、っていうさ」
米林「中学生?って思うくらいにすごいしっかりした意見持っているなと思ったら、ああ、ご家庭がこういう感じなのね、っていうところでしたね」
くむ「しかも、本当の名前と呼ばれている名前と自分が思っている名前が全部違うわけでしょ」
中川「千と千尋のハクじゃないんだから…」
くむ「流れからすると、これ妨害してでもテニス部を潰さなきゃいけなくなるんじゃないのかな、と考えると、ラスボスこいつ?」
中川「ありえますよね。結構フラグ立ってるなと思って。こんなに一生懸命、みんな改心して頑張っているのに、なんでそんなこと言うのっていう」
くむ「予算を割り振るために、彼女は切るものは切るんですよ、親たちがしてきたように。彼女がどういう家庭環境で育って、今どういう思考を持っているのか、というものを描きたかったのかな、という感じは受けましたね」

■お金とかあの言い方とか…柊真が一番わからない
美樹「同級生にも母親にもあれだけ恐れられているのが謎ですよね。最初の頃に『殺す』って樹が言ったりしてましたよね。でもその『殺す』の重みが、柊真はちょっと重いなという気がして。あのお父さんの威圧感には負けるけど」
くむ「自分は少年法で守られるから、とまで言っちゃえるわけだからね」
美樹「あれだけやる気のないソフトテニス部で、一人だけずっと頑張っていたわけじゃないですか。そこにも意志の強さとか、頑固さみたいなところが現れていて。ちょっと何をするのかわからないキャラクターで。これだけ出ているのに、まだ一番わからないですね」
くむ「もう素直に、殺すって言ってますからね。殺すって、言うのか!?っていう」
米林「そこまで言うか、って思いましたね」
くむ「それを台詞として言わせるんだという部分は驚きではありましたよね。確かにあんなクズの父親はなんとかなればいいとは思いますけど、それは死ぬってことなのかというと…。接近禁止命令の申請はしているとは言うけれど、守るかといったら守らないと思うんですよね。そのレベルに行く前にやっちゃいかねない、みたいな。名前を聞かれたので、新城家にゆすりに行くんじゃないかっていう恐怖もありますよね」
美樹「今こういう時代ですし、名前だけでいろんなものがわかっちゃったりしますからね。怖いなあ」
くむ「この物語が素直にスポーツものとして終わると思える自信がないわけですよ。あそこまで激しいやり取りを映像化していて。このお父さんの問題が綺麗に解決せずにこの物語が終わるとは到底思えない」
米林「そこはちょっとスッキリしたいですよね」
くむ「でも、スッキリすると言うのはどういうことだい、って言う…」

部活もの・スポーツものとして魅力あふれる描写が、「中学生」という表皮の一枚下にある「14歳のこども」の危うさをより強烈に印象づけています。これから追いかけようかなと思ったみなさん、一気見するのはかなりヘビーかもしれませんので、ちょっとずつ間を開けながらの視聴をお勧めします!

(笠井美史乃)

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