『外伝』上映開始前に見直してよかった! そこ☆あに『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』特集Part2まとめ

今週の特集は、『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』特集Part2です。2018年冬アニメとして放送され、そこ☆あにでは第6話放送時点で特集しましたが、9月6日からの劇場版『外伝』上映を前に見直しておきたい、ということでこのタイミングでのPart2特集となりました。ため息が出るほどのクオリティ、人物の心を描き出す繊細な演技や演出は、改めて見直しておく価値ありです!

そこあに「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」特集Part2 #597
「そこ☆あに」597回目は『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』特集Part2です。 2018年1~3月の冬アニメ。放送当時には第6話「どこかの星空の下で」まで視聴したタイミングで特集しました。今回はテレビシリーズ全13話とExtra Epi...

■リアルとお伽話、事実と結びつける世界観
那瀬「これ、けっこうどぎついところもあるのに、不思議とストレスが洗われるみたいな感覚にならない?」
くむ「戦争ものだからね、なんだかんだいって。戦後ではあるけれど、後半にはテロリズム的な描写もあるじゃないですか。決してキレイなだけの世界じゃないんだよね。その中で人がどうやって生きていくのか、愛していくのか。親子の関係とかたくさんの愛を描いている物語なのかなと」
美樹「前回の特集でも、描写がきつくて見るのがつらいという話があったと思うんですけど。ヘビーな物語だけど、その根底には優しさと希望がある作品だから、そこまでつらくはなかったというか。むしろ、状況や環境がきつければきついほど、人の愛はこんなに輝くんだなというのをこの作品で感じましたね」
那瀬「この世界は戦争が終わって、平和を取り戻した世界。でも別にどこかの国がモデルになっているわけでもない、架空の世界ということでいいんですよね」
くむ「過去の何かがベースにあるというほど明確にはされていないよね」
那瀬「自動手記人形という仕事もこの世界独自のものだとは思うんだけど…こういう仕事は現実にあったんですかね」
美樹「この作品、那瀬ちゃんがさっき言ったような、偉人の話みたいな。こういう人がいたのかな、と思わせるところがあって。だからあんまり疑問に感じないというか。こういう仕事あったのかな、くらいの気持ちになっちゃうんだよなと思って」
那瀬「うまく事実であったことと結び付けられていて。職業婦人感がちゃんと出てるとか勝手にこっちが時代と結びつけたりしている。そこの仕掛けがすごくよく作られていると思う」

■Netflixで配信中、4話と5話の間でヴァイオレットの成長を描く「Extra Episode」
くむ「この話を見ることで、彼女の謎の成長が理解できましたね」
美樹「初めて見たときは、4話から5話の急成長どうした?と思ったんですけど。この話はホントに、今回見てあまりに感動して。全体の説得力とか、作品の印象自体を変えるくらいに重要なエピソードだなと思いましたね」
那瀬「ああやって、鍛えてくれる人がいたわけだよね」
美樹「たった30分で、こんなに愛を描いて、命の尊さがわかる物語が、エクストラエピソードであるとは。あれだけいろいろ書籍とかで学んだり、愛と向き合ったヴァイオレットなら、この成長も納得だなと思いましたね」
くむ「3ヶ月くらいであんなに成長するわけないよね、普通に考えちゃうと。でも、すごいスパルタを受けていたわけでしょ。ただでさえ感情に疎い女の子だったわけですよね。そんな子があそこまで、人の気持ちに寄り添った手紙を書けるようになるまでの話はね。やっぱり、(テレビシリーズでは)かなり省略されていた感じはあったので」
美樹「仕事の量で成長したのかなと思っていたんですけど、量じゃなく質で変わったんだなというのがわかって。特にこのエピソードの依頼は、戦争を知っていたヴァイオレットだからこそ書けた手紙だなと思うので。手紙というか歌詞だったわけですけど。ヴァイオレットにとっては必要不可欠な手紙だったんだなと思います」

■キレイなばかりでは終わらない、作品のリアリティ
那瀬「私は“ブーゲンビリア兄弟”という言い方をしたいんですけど。(ヴァイオレットにとって)決して少佐だけでなく、お兄さんであるディートフリートと、弟であるギルベルトという兄弟がいたのかなと思うんですよ。お兄ちゃんも最終的にはとても素敵なキャラクターだったなと思いました」
くむ「最初はすごくヤなやつだと思ってましたからねえ。あんなに弟思いだったとは」
那瀬「ある種、この作品で一番普通というか、凡人的な考え方をしている人かもしれないなと、ちょっと思いました。家族に対する愛があって。ヴァイオレットへの言葉の選び方は、大衆が思うことを代弁する人なのかもしれないなと思ったんですよ」
くむ「軍人が、だろうね」
那瀬「ああ、そうですね。それに対して、ギルベルトが決して神様的でもないところがまたいいというか。ヴァイオレットに対する愛が、LOVEだったのagapēだったのかはボヤかしているとは思う。でもやっぱりちょっとLOVE寄りのところもあったのかなと思ったりするわけで」
くむ「切り替わっていったんだろうね、多分。彼女を見ているうちにね」
那瀬「それもあるだろうし、やっぱり彼女を道具として使っている自分もいる、というところも描写としてあったわけじゃないですか」
くむ「軍の命令とはいえね」
那瀬「そういう、人間のドス黒さみたいなものをちゃんとどのキャラクターにも振り分けているんだなというところが、この作品のリアリティでもあるんだなと思いますね」

話数を重ねるたび、ゲストキャラの愛に、ヴァイオレットの成長に、最終回まで涙なしで見ることのできない作品でした。つくりが丁寧なだけに、見返して気付くことも少なくありません。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』劇場上映開始まであとわずか。劇場に足を運んで京アニを応援したい方も、ぜひ一度テレビシリーズを見直してみてはいかがでしょうか。

(笠井美史乃)

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