幸せなリメイクに原作ファンも思い入れ再び! そこ☆あに『フルーツバスケット』特集まとめ

今週は、今期新番組より『フルーツバスケット』特集です。2001年にアニメ化されていますが、当時はまだ原作が連載中でアニメオリジナルの結末となっていました。それを今回は、すべて一新してリメイクした上で結末まで描くことがアナウンスされています。少女漫画史に残る人気作品だけに、原作・アニメ旧作と見てきたファンはどのような思いでいるのでしょうか。

そこあに「フルーツバスケット」特集 #584
「そこ☆あに」584回目は『フルーツバスケット』特集です。高屋奈月による原作漫画は、1998年から2006年にかけて花とゆめにて連載されました。センセーショナルな設定と、巧みに絡み合う人間模様。本当にどのキャラクターも忘れられなくなる群像劇...

■1話で「いい子!」と思わせるヒロイン・透くん
那瀬「透くんのキャラクターって本当に絶妙なバランス感ですよね」
くむ「あれ、今の時代一歩間違えれば嫌われますよね。今回、見直していて思ったけど、彼女のへりくだり方とか、一生懸命頑張るみたいな感じとか。この、絶妙なラインで成り立っているヒロイン像だなと。面倒くさい女にならない」
那瀬 「それもあるし、あとは女神にもなりすぎない、というか。置かれている環境が結構過酷だったりして、でもかわいそう感を出さない描写というか。高屋奈月先生の素晴らしいセンスなんだろうな。それは周りのキャラクターに対しても私は思うんですよ。それぞれみんなが、かわいそうだけれど、かわいそうとは言わせてくれない感じ」
くむ「透くんがいたおじいさんの家の家族はロクでもなかったわけですけど、それもその1話の一部で終わっちゃうから。普通は彼女のかわいそうさをもっと描いちゃうのかもしれないけれど、そこをやりすぎない感じがいいですよね」
那瀬「そうなんですよね。そのサジ加減がこの作品を絶妙に暗くしすぎないというか」
くむ「ああいうのは物語とはいえ一歩間違えば見ていて不快になっちゃうんですよね。不幸にするために無理やり物語を作っているような感じがしちゃうというのかな。それが嫌なんですよ。そうならず、良い感じで次に進めていくというところがうまいなと思ってね。それが結果的に透くんの魅力に繋がってるという」
那瀬「個人的には、第6話の夾くんと屋根の上で話している時に、透くんが『ああすいません、フォローになっていませんよね』っていうのが好きで。フォローしてるんだ、っていうのが」
くむ「彼女なりにね」
那瀬「そうそう。純粋に美しい言葉を言っているんじゃなく、彼女なりに考えて気を使っているんだというのがちゃんと滲みでているから、透くんいい子だなって思えるんだろうなと思ったりしますね」

■設定にちょっと昭和感はありつつ…見所はドラマだから
那瀬「携帯電話出てこないな、って思いながら見ています」
小宮「私は黒電話が出たところでおっ!て思った」
那瀬「確かに。あれはおしゃれ小説家の家だからあるんですっていう黒電話に見えるけど、当時はそうじゃないからね」
くむ「あえてそのままで行くんですかね。最近のアニメの中では、携帯がある設定にうまく変える場合もあるわけじゃない」
小宮「インタビューの感じだと、必要なければ現代に設定を直すようなことはしなさそうな感じですけどね」
那瀬「由希くんが住所のメモを持って歩いて家を探すというのはちょっとシュールだったよね。まあでも、物語には必要のない装置だということになったんだろうし、そんなに不自然には見えないから、うまく調節している感じはします。キャラクターはどうですか? 頭身とか絵柄もちょっと当時の感じがあるなと私は思ったんですけど。そのあたりもすごくキレイに、でも足長いなーという感じとかはうまく再現しているなと思って」
くむ「確かに、言われれば頭身めっちゃ高いですね。でも、違和感があるかと言われたらそこまで感じないんですよね。そこはうまいなと思います」
那瀬「こういう言い方をしてはなんだけど、人間ドラマだからこそ、どの時代でもできるんだなというのが、こういう形で証明されたというか」
くむ「歴史物、紀伝的な部分もあるから成り立つ設定なのかな、とも思いますよね。これがただの学園ものだったら、ちょっと古臭さをより感じていくのかもしれないよね」

■語り口がちょっと変わった? でも自分の見方も変わった
小宮「由希くんは、旧作を知っている身として、1話を見たときに一番びっくりしたキャラクターではありましたね」
那瀬「あ、彼は男の子だったっけ、という第一印象がバシッときたからこそ、この作品は恋愛の要素も強いんだな、ということに改めて気付いたかな。以前のアニメはギャグとか呪いとか、そっちの方向に持っていく作りになっていたというのもあるけど」
くむ「この三角関係どうなるのって、ドキドキしながら見てますよ。だってどう考えても夾くんは透くんのことが好きじゃない、すでに。確実に由希くんも好きでしょ。しかもまた、透くんはどちらかというとそういうことに疎い感じがするし。この、見守っていきたいけど最終的にはどっちかとくっついてほしい、みたいな感じで見てますよ」
那瀬「由希くんと夾くんがまた、この二人の関係性もこんなに素敵なものだったんだなと思うというか。当時は本当に私、少女漫画を読む少女でしたから、由希くんと夾くんは仲が悪いと思ってたの」
小宮「わかるわかる」
那瀬「そうじゃないな、という見守り方になってしまいますね、この歳になると」
小宮「声優さんが男の人になったこともあるけど、旧作よりも今作の方が、そういう要素はある気はします」
那瀬「ケンケン言いながら二人で透くんを迎えに行ったりしちゃって。ライバルって感じでいい関係だなと思うし。由希くんは王子様キャラで、夾くんはかっこいいけどお友達できやすいタイプというので、お互い憧れる面もあるんだなというのがまた上手に描かれてますよね」

旧作へのリスペクトが垣間見えるだけでなく、その上できちんと新しいものを作っていくという思いが随所に感じられる、幸せなリメイクになっているのではないでしょうか。旧作の時点ではまだ登場していなかったキャラクターも含めて、昔からのファンにとっても今後の展開が楽しみです。

(笠井美史乃)

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