今週は、第7話が酷くて話題沸騰の『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』特集です。青田買いの段階では、面白いけど正直30分は長いのでは? と思ってましたが、いえいえ、そこからグイグイ来てますよ。原作の面白さはもちろん、絶妙なテンポ感やBGMなど、アニメならではの演出センスも突き抜けてます。
■恋愛なのかギャグなのか…ふたりのピュアさが面白い
くむ「これ、恋愛物として見てます?ギャグアニメとして見てます?」
美樹「恋愛ギャグ?(笑)でも、自分が好きなエピソードでパッと思いつくのは、やっぱり会長とかぐや様の恋愛の駆け引きみたいな話なので。結構、恋愛重視で見ているのかな」
小宮「私は結構…うーん、でも分けてみているかな。かぐや様の視点で動く話は結構恋愛だなと思って、可愛らしいなと思って見ているんですけど。結構会長の話、コメディじゃないですか。視点によって結構違うのかな」
くむ「この二人は恋愛初心者すぎるわけじゃないですか。だからこその面白さなわけですけどね。その点はやっぱり男の方が不利だよな、と思って見てますよ」
美樹「恋愛に対しての男女の考え方の違いみたいな。かぐや様は女の子らしくて、恋愛している。はたから見たらそういう感じなんですけど。会長はやっぱりギャグに行ってしまう。。男女の差が」
くむ「(笑)これ、原作者が男性だからというのはやっぱり関係あるんですかね。女性作家だったらもっと女性心理がエグく描かれるんじゃない?」
美樹「さわやかですよね」
小宮「女の子ってもうちょっとエグい話もあると思うんですけど。結構ピュアじゃないですか、かぐや様は」
美樹「藤原書記に対してかぐや様は(心で)結構ひどいこと言っているはずなんですよ、人の形をした家畜とか。結構どす黒いところもあるのに全然さわやかだし、かぐや様が嫌な子だなってならないのは、男性が描く女の子だからなのかなあ」
くむ「結果的にそれが男女共に楽しめるようなラブコメになっているんじゃないですか」
■ピュアなのに駆け引きなんてしようとするから…
くむ「1話の冒頭から『恋愛は戦、好きになった方が負けなのである』とか言われているけれども。二人とも好きじゃん、なわけで」
小宮「もう、すでにね」
くむ「もう少し二人の想いが微妙なところからスタートするのかなと思っていたわけですよ。…1話から好きじゃん。しかも、どっちかが恋愛強者だったらすぐに出来上がるわけじゃない、力関係が。でもそうじゃない、いいバランスなわけですよね」
美樹「そうなんですよね、完全に、お互いに好きの気持ちが拮抗しているじゃないですか。かぐやなんてストーカー並みに計画練っていたりするわけで」
くむ「財力を使ってますからね」
美樹「会長にあの手この手で。かぐやの方が好きなんじゃないか?って思いがちなんですけど。ほかのエピソード見ると、会長は会長でかぐや様大好きだなっていう。お互いに全く同じくらい大好きで、プラス、プライドの高さも拮抗しているから物語が成り立つんだなっていう。このバランスがすごいなと思いますね」
小宮「恋愛物の作品て、両思いになってくると早く付き合えよって思い始めるんですが、ずっとこのままでいいかな、みたいなところがこの作品の特徴かなと思っています」
美樹「確かに! それこそ『3D彼女』なんて最初からくっついちゃっているわけじゃないですか。だけどこの作品はくっついたらマジで終わりだ(笑)」
小宮「本当そう、最終回ですよ」
■恋愛初心者物語を彩る、王道的ラブストーリーの香り
くむ「『昭和元禄落語心中』の畠山守さんが監督なんですよね。落語心中から、今度はこんなギャグが来るとは到底思ってなかったよね。原作の力があるとは言え、ここまで昇華しているというのが素晴らしいですよね」
美樹「本当につくり方が細かくて、アイキャッチの一瞬も見逃せないんですよね。1話3エピソードで、だいたい1エピソード終わるごとにCMが入るんですけど、直前のアイキャッチにそのエピソードのオチとか、こうでした、みたいなのを一瞬絵で挟む。その絵が結構大事だったりするので、ほんと見逃せない。たった1枚のおかげでもっとエピソードが広がるとか、キャラクター性がより見えてくるとか。そういう細かいところまで作り込んでるなという気がしますね」
くむ「漫画っぽさがうまく活きている感じがありますね。あとは、作中でいえばBGMとか。コメントにも頂きましたけど、東京ラブストーリー的なBGMが流れたりですよ。結構、オープニングも含めて昭和感あるな、と思いますね。アニソン初ですよ、鈴木雅之さん」
美樹「すごいですね! よくここに! オファーを!!」
小宮「大型新人だから」
くむ「そう、アニソン大型新人です。でもねえ、オファーした段階でこれは勝ちですよ」
美樹「アイデア勝負というか」
くむ「しかもめっちゃ合ってるでしょ」
美樹「ラブ・ドラマティック!」
ほとんどのエピソードが生徒会室内だけで繰り広げられる会話劇。深い設定も手の込んだ伏線もないけれど、あの手この手で隅々まで楽しませてくれる作品です。原作はすでに13巻まで発売中。原作ファンによると、この先ますます面白くなる…ですと?!
(笠井美史乃)