連載50周年『あしたのジョー展』開催、今期注目の「メガロボクス」関連展示も

コミックス累計2000万部、テレビアニメ最高視聴率31.6%を記録した国民的作品「あしたのジョー」。その原作の連載開始50周年を記念して、東京スカイツリータウンにて『あしたのジョー展』が開催されています。期間は5月6日まで。

展示されているのは、厳選された名シーンの原画をはじめ、アニメの資料や映像、そして同作を原案とする新作アニメ「メガロボクス」の制作資料まで盛りだくさん。

原画の展示エリアは、原作/高森朝雄(梶原一騎)さんの長男・高森城さん氏選択による「赤コーナー」、漫画/ちばてつやさんの選択による「青コーナー」に分かれており、それぞれに選者のコメントがついているのが見どころ。数々の名シーンの生原画を、当時の記憶や作品への思いと共に見ることができる貴重な機会です。



アニメの展示エリアでは、ハイライトシーンをセル画から絵画調に変える演出、通称「ハーモニー画」の原画を多数展示。絵コンテや、オープニング・エンディング、名シーンの動画なども見ることができます。


そして「メガロボクス」の展示エリアでは、キャラクター設定や背景、アフレコ台本、絵コンテなどを展示。森山洋監督のインタビュー映像も上映されています。



展覧会開催に先立って行われた内覧会では、原作のちばてつやさんと、「メガロボクス」に出演中のジョー/ジャンクドッグ役・細谷佳正さん、勇利役・安元洋貴さん登壇による合同会見が行われました。


(左から)安元洋貴さん、ちばてつやさん、細谷佳正さん

ちばさんは、連載開始50周年を迎えたことについて感想を求められると「ラストシーンが決まらなくて苦しんだことを、つい2、3年前のように覚えています。私にとっては何年も経っていないような感じです」と述べました。

膨大なページ数から今回展示された原画を選択するに当たっては、戦っているジョーの眼を見て描いていた当時の気持ちを思い出したり、力石亡き後、ジョーが戦っては吐くことを繰り返すシーンでは、ご自身が体調を崩して入院した経験を思い出したことなどを語りました。

スポ根もの全盛の時代に生まれながら、そこに留まらない厚みが魅力の同作。原作者の梶原氏は「『巨人の星』ではスポ根を描きたい、でも『あしたのジョー』では文学を描きたい」と語っていたそうです。

「梶原さんは作家になりたかった人。私の漫画を通じて、もしかしたら文学を書いていたのかな。そういう気持ちが私に乗り移って、ただのスポ根ではない、人間の葛藤や生き様を描く作品になったのだと思います」(ちばさん)

連載開始50周年企画として、2018年4月よりアニメ「メガロボクス」の放送が始まりました。舞台を近未来に、ボクシングを肉体とギア・テクノロジーを融合させた格闘技・メガロボクスに置き換え、二人の男を中心にストーリーが展開していきます。

主人公ジョー/ジャンクドッグ役の細谷さんは同作の最初の印象について、オーディションの資料を見たときに「直感的に、面白い作品になるだろうし、すごくいい作品になっていくだろうと確信を持ちました」とコメント。また安元さんは「近未来と言いながらどこか油臭かったり、サイバーパンクな雰囲気もあり、予想が全くつかなかったのですが、セリフを与えられたときにすごく腑に落ちるところがあった」と言います。

役作りについて質問されると、細谷さんは声優の研究生時代に再放送で見た「あしたのジョー」で、あおい輝彦さん演じる矢吹ジョーの演技に衝撃を受けた経験を語りました。

「当時、先生からはセリフはきちんと相手に伝わるように言うものだと教えられていたのですが、その時のあおい輝彦さんのお芝居が『俺の話を聞いていてもいなくてもいいけど、俺はこう思っているんだよね』と言っているように聞こえて。こんなにかっこいいキャラクターがいるのかと衝撃を受け、その時から将来的にこういう役をやってみたいと思う憧れのひとつになりました」(細谷さん)

一方、ライバルとなる勇利を演じる安元さんは、主人公に対峙する存在であることを大事にしたと言います。

「細谷くんの演じるジャンクドッグから、とても人間らしい部分を感じました。僕(勇利)はギアを身につけている人間ですし、ギアの申し子のような雰囲気もあるので、鉄を意識してキャラクターを作ったところがベースにあります。そこから変わっていく過程も、多分少しずつ皆様に伝わると思います」(安元さん)

最後に同作の見所について質問されると、お二人とも異口同音に「全部」と回答しました。

「本当に全部としか言いようがありません。最後まで全力で駆け抜けている作品なので、ぜひこれからを楽しみにしながら、全部見ていただけたらと思います」(細谷さん)

「毎回毎回、台本を読むのが楽しみで、そのワクワクした気持ちのままマイクの前で芝居をしています。その熱は確実に作品に乗っていると思うので、熱さも一つの魅力だと思います。また、僕たちはずっと名ゼリフで会話していると言えるくらい、パンチ力のある言葉で話しています。パンチラインだらけの会話劇にも注目していただけたらと思います」(安元さん)

連載開始50周年記念『あしたのジョー展』
会期:2018年4月28日〜5月6日(会期中無休/午前10時〜午後6時)
会場:東京ソラマチ 5F スペース634
入場料:一般・大学生1200円/高校・中学生800円/小学生以下無料
URL:http://joe-50th.com/exhibition/

(c)高森朝雄・ちばてつや/講談社
(c)高森朝雄・ちばてつや/講談社/メガロボクスプロジェクト

(記事 笠井美史乃)

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