新たな筆致をもって描く、銀河の歴史再び そこ☆あに『銀河英雄伝説 Die Neue These』特集まとめ

今期新番組からの1作目となります、今週は『銀河英雄伝説 Die Neue These』特集です。1988年2月の劇場版第1弾『わが征くは星の大海』、同12月のOVA第1期リリース開始から今年で30年。歴史ある作品だけに、思い入れの深い人も多いことと思いますが、ここからまた新しいファンが増えるとしたら嬉しい限りですね。今回は初めて銀英伝に触れる人にもお楽しみいただけるよう、3話以降のストーリーのネタバレなしでお届けしております。コメントいただいた皆様にはご配慮いただき、ありがとうございました!

そこあに「銀河英雄伝説 Die Neue These」 #526
「そこ☆あに」526回目は『銀河英雄伝説 Die Neue These』特集です。 原作は1982年に第1巻が刊行された田中芳樹によるSF小説。1988年からOVAとしてアニメシリーズ本伝110話、外伝52話、劇場版が3本制作された歴史的作...

■新しい銀英伝、初心者の感想は?
くむ「今回参加しているスタッフで石黒版(旧OVA版)を最後まで見たことあるのは、私とたまさんの2名。原作も読んでいますよね」
たま「思春期の頃のバイブルでした」
くむ「蒔田くんと水貴さんは初めて、ということでいいですか?」
蒔田「小さい頃に兄の横で見たり、成長してからちょこちょこ借りして見た回もあったんですけど、どこまで見たのか、詳しくは覚えていないですね」
水貴「私は石黒版は全く見ていないですし、原作も全然読んでいないです。ただ周りにファンが多いのと、弟がすごい好きなのもあって、何となくはわかってはいます」
くむ「というメンバーでお届けしておりますが、どうでした?」
蒔田「そこまでイメージと違うものが来たという印象は受けなかったんですよね。艦隊戦の前面からビームを撃っている、ある意味シンプルな描きかたとか、セリフ回しも、ああこんなんだったなという感じです」
水貴「私は見ていないので比較はできないんですけど、1話と2話を見た感じではすごくわかりやすくて。ラインハルトとヤンの二人の対照性というか、違いもよくわかったし、所属とか世界観の説明とか、そういうところもわかりやすかったです。あと、やっぱり艦隊戦がかっこいいなと思いましたね。それぞれの戦艦もデザインのイメージが違って。それと、知らないことは知らないんですけど、それでもやっぱり有名なので、ラインハルトとか、ヤンとか、キルヒアイスとか、噂で聞いていた通りのイメージだと思いました」

■同じ原作から描く、新しいキャラクター像
たま「昔のラインハルトの方がちょっと幼い感じがしたかなと思うんですよね。ある種、危ういヒステリックさみたいなものを内面に持ちつつ切れ者、みたいな。不思議なバランス」
くむ「そうなんです。その危うさみたいなものが、少なくとも今のラインハルトには感じられないなと」
たま「デザインからしてそうだと思うんですけど、ちょっと大人っぽくて、ただその中に傷つきやすいガラスのハートを飼っている方の大人、というイメージがあって。確かに原作を読んだ時にそういう解釈もできるなとは思ったので。多分、宮野さんの解釈だと思うんですけど、ありかなという風には思います」
くむ「多分、キャラクターの持っていき方をあえて変えていると思うんですよ。ラインハルトもそうだし、(声が)合っていると思っていたヤンですら、石黒版の1話2話を見直すと全然違うんだなと」
たま「もっと嫌そうでしたよね」
くむ「思っていた以上に、自分たちが知っているヤン・ウェンリーって“やれやれ感”のある男だったと思う。でも実は天才、みたいなタイプですよね。だけど今回はちゃんと仕事はやりますよ、タイプですよ」
たま「割と意見具申とかしっかりする方でした」
くむ「だから、今回の作品に出てくるラインハルトにしても、ヤンにしても、もっとちゃんと軍人らしい感じになっているんじゃない? そういう風に考えると、このキャスティングなのかなと」

■知ってる人には物足りないけど、知らない人には多すぎる
くむ「“帝国の双璧”と言われる、ウォルフガング・ミッターマイヤーとオスカー・フォン・ロイエンタールですけど、まだ出ていません。この前に、ラインハルトは二人と組んで戦っているんですよね。今回のアスターテ海戦では強い仲間を一回外された状態で戦いに出ているんです。なので、石黒版にはそのラインハルトを心配するミッターマイヤー、ロイエンタールの会話が挟まっているんですよ」
たま「本当は出したいところだと思うんですけど、そこをあえて出さなのは、本筋を大事にしてくれている感じがして、私は嬉しかったりします」
くむ「もしかしたらこの後、その話を描くのかなと思うんです。でも、1話2話の中で出ししまうのは、確かに不必要ですよね」
水貴「石黒版を見てないせいもあるんですけど、メインキャラ以外の顔と名前がまだ一致しないんですよ」
くむ「そうでしょうね、」
水貴「いろんな名前を聞いたことはあるんですけど、それがどの顔かあまりわからなくて。なので先ほどから石黒版との比較として、わかりやすくとか、時系列順とか、原作準拠に、というのを聞いていて思ったんですけど、初見組としては一気にいっぱい出てきてほしくないなというのがあって。名前が覚えられないので(笑)」
くむ「そういう意味ではちょうどいいのかもね。いわゆる、石黒版ファンにはサービスになるだろうけど、そうじゃない新規の方には、この段階でミッターマイヤー、ロイエンタールが出ているというのは、確かにわかりづらいかもしれませんね。あえて、この後いい出番を待っている可能性はありますね」

ここまで原作に沿った展開になっていますが、キャラクターの描き方には新しい作品に挑戦する姿勢が見えています。長らくのファンにとって、そして新しいファンにとって、この先どんな作品になっていくのでしょうか。予定されているテレビシリーズ+劇場公開でどこまで描かれるかも気になりますね。どこかのタイミングでまた特集したい作品です。

(笠井美史乃)

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