【そこログ】デザイナー視点で見るアニメ-『田中くんはいつもけだるげ』はロゴのけだるさも秀逸!

こんにちは、田中美樹です。そこあにのメルマガが終了し、新たに「そこログ」が始まりました!これまで特集作品について語っていたメルマガとは異なり、「そこログ」ではもっと自由なテーマで語っていきたいと思っています。

そこで私が、是非とも連載化していきたいテーマがあります!ズバリ、「デザイナー視点で見るアニメ」

デザイナーとなり早4年。漫画雑誌にちょいちょい名前が載るようになり、装丁デザインもいくつか手がけ、少しずつデザイナーらしくなってきました。そんな私が「ぐぬぬ」と唸るデザインは、アニメ作品の中にも多々あるのです。そこ☆あに本編では、2016年春アニメ最終回特集を配信したばかり。早速、春アニメ作品からご紹介したいと思います。

今期デザインに唸った作品は、なんといっても『田中くんはいつもけだるげ』です。ちょっと長めのタイトルですが、3行取りのロゴを基本に、縦ロゴ・横ロゴがストーリー内で配置されます。このロゴの大きさ、配置位置、出すタイミングと間の取り方が、とにかく秀逸なのです。

平面的なデザインを動きのあるアニメーションで行うことで、笑いや癒やしを生む。いわゆるオシャレアニメと言えますが、これまでにない新たなジャンルが生まれたと感じます。同じ田中として、「田中に生まれて良かったー!」と思えるくらい作品のファンになりました。

この作品、ロゴ自体のデザインがとても良い。ゴシック体と一言に言っても様々な形がありますが、『田中くんはいつもけだるげ』のフォントはモリサワの中ゴシックBBB。ロゴデザインをする際、作品に合ったモチーフを文字に装飾したり、何か工夫を施すのが常ですが、“けだるげ”だからなのか、装飾もなくほぼフォントの形をそのまま使っています。

文字の「線が交差する部分」や、「止めの部分」に“墨だまり”を作るのが最近のデザインの流行りだったりするのですが、田中くんのロゴも墨だまりを上手く利用しています。墨だまりを作るだけでオシャレ度がグンと上がるので、個人的にも気に入っている加工です。絶妙なバランスの文字の細さと、字間、白を活かした画面作りに映える黒字のロゴ。シンプルなのに存在感があり、ロゴとしての役割を最大限に果たしています。この計算し尽くされたデザインに唸りました。

文字サンプル
「墨だまり」を作るとこんな感じになります。

気だるく生きるために精一杯頑張る田中くんに不思議と好感を持ち、そんな田中くんを隣で支える太田くんは本当に良い嫁です(笑)。完璧なコンビなのですが、女性キャラクターとの恋愛要素もあり、楽しめる部分が幅広い。私がシビれたのは、ちっちゃくて可愛く、幼い見た目の宮野さんが、白石さんの片思いを瞬時に理解したシーン。白石さんが思わず「師匠!!」と言った回がとても好きでした。

ほのぼのな日常の物語でしたが、それを1クールゆったり楽しみながら見てきたからこそ、最終話のエンディングは心に響くものがあります。「この作品を見てきて良かった」と必ず思えるエンディングです!

ふとした時に少しずつ味わって見るのも良いですし、むし暑い今の時期にクーラーの効いた部屋で涼みながら一気見するのもオススメです。新番組が始まりましたが、春アニメの隠れた良作にも注目です。

↑ジャケットにはけだるげなロゴが前面に

・関連リンク
TVアニメ「田中くんはいつもけだるげ」公式サイト http://tanakakun.tv/

(田中美樹)

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