謎を解くほどに一層の深みへ そこ☆あに『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』特集まとめ

今週は、青田買いでも好評だった『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』特集です。出足から難解だった設定が明かされるにつれ、逆に底が見えなくなるのが魅力です。13分15秒まではほぼネタバレはありませんが、初見の方はまず視聴してからお聞きいただくのがおススメです!

収録の段階では FILE:12「CHANNELED」まで視聴済みでの特集です。
https://sokoani.com/archives/13560.html

■これから見る人がうらやましい!ネタバレなしのおススメ
美樹「魅力としては世界観ですね。犯人の殺意を殺人現場から採取して、その殺意の世界である『イド』に入って捜査していくという。今までになかった捜査方法がまず面白いですよね」
くむ「イメージ的には、若干『PSYCHO-PASS』的な感じはありますよね。あれは犯罪係数を測るわけじゃないですか。でも、あくまでも数字でしかないし。犯罪時の殺意を採取する『ワクムスビ』という機械があるけど、それで裁くわけじゃないところは全然違いますね」
美樹「そうでうすね。無意識の世界で人間が何を思っているのかを見つけながら、名探偵が犯人を探っていく、という感じなので。またその世界の中身が人によって然違う。それがアニメーションと相まって、カッコいいんですよね」
くむ「深層意識って人それぞれなわけですからね。映像としてどうビジュアル映えしてくるのか。監督と脚本の相性が良かったのかな」
美樹「最初から謎だらけなんですよ。そもそも第1話が『イド』の世界から始まるので。この世界なんなんだ?という謎とかいろんな情報が、話数を重ねるごとにちょっとずつ明かされて収束していくところが、すごい快感なので。私は今回もう一度見直してみましたけど、もちろん展開を知って見返すのも楽しいんですけど、やっぱりこういう作品は初見の楽しさを超えるものはないと思うので。ほんと、見てない人がむしろ羨ましいくらいに思いますね」
小宮「YouTubeの方で津田さん細谷さんとか監督のインタビューが配信されていたんですけど。私は一気見した後にそれを見て、もう1回1話を見返したいなと思った。1回目に気付かないところも2周目とか、誰かと話してから見ると、また面白い作品かなと思いますね」
たま「12話見た後に1話を見直すと、なるほどねと思うところがあったりしたかな」
小宮「1話のシナオリが、後半で重要だったりするじゃないですか。そのあたりも踏まえて、1話2話を見るとはまってもらえるかなと思います」

■謎解きと濃い人物像が噛み合う、巧みな構成
小宮「この作品、ミステリーでSFなんだけど、すごい人間的というか、感情を揺さぶれられるストーリーで。殺人鬼なんだけど、理由がある種納得できるような人もいるじゃない。変に殺意を理解していく自分もいて。特に10話はもし自分が…って思うと、自分が鳴瓢になるかもしれないという感覚も少し覚えてしまうくらい、感じるものがあるじゃない」
美樹「殺人鬼に対して、ちょっとした魅力とか、共感しちゃいけないけどどこかわかる、という上手さもあるんだよね」
小宮「そう、殺したい気持ちがわかるわけじゃなくて、そういう愛情の部分の深さがわかるというのが一番大きいかなと思うんだけど。そこがSFでミステリーという設定とちょっと離れているような感覚があって。10話を見た時に面白いなと思った」
たま「富久田保津なんて、このキャラクターはどこを魅力と思って見ていけばいいんだろうと、最初出てきたときは思ったんだけど、最新話あたりまで見た段階で、富久田好きだわ、と思ってしまうところまで来ていて。やったこととかは全然許されないし、行いとしては最低なんだけど、それでも彼の人間味とか、魅力というか…」
美樹「数唱障害というものも、多分現実に似たような病気はあるにせよ、こういう設定を作って、その状況だったら穴を開けるのかなとか、ちょっと考えてしまうような。そういう設定とか人間性の作り方がうまいですよね」
たま「共感はできなくても理解はできるな、というのと、そこに仕方のなさみたいなものも見出してしまえるというのは、すごい不思議なことだよね。数唱障害って、ちょっと前に見たドラマで近い設定が出てきたんだけど。数字を、絶対に数えないとダメ、みたいな強迫性障害で。3という数字にすごいこだわりがあるキャラクターだったんだけど、何かする時に3を表すような動作をするとか、全てのものを3個買わなくちゃいけないとか。どうしても抗い切れない衝動を持っていて、制御できないという、結構かわいそうな結末になる犯人だったんだけど。それを思い出して、すごく、富久田というキャラクターに、現実にいるかもしれない設定なんだと思ったんですよね」
くむ「富久田保津って1話の犯人ですからね。あんなヤバいやつがそのまま探偵になるというのは、正直驚きました」

■犯人はわかった、けれど最大の謎は…
たま「結局、飛鳥井木記がどういう人なのかということの方が、ジョン・ウォーカーのことよりもきっと大事だし、結末に絡んでくるんだろうという感じはするんですよね」
小宮「まだ謎らしい謎が残っているのって、飛鳥井木記だけかなと思うので」
美樹「ジョン・ウォーカーは、やりたいことはなんとなくわかる。立場的にも。ただ飛鳥井木記は、悪意があってやっているのかとか、何のためにあんな能力があって、彼女自身の意識がどうなのか、というのはわからないですもんね」
たま「しかも、百貴さんが飛鳥井木記をどうするのかも結構重篤なところに結びついてきそうなんだけど。あの二人はどう決着がつくんだろう。そもそも百貴さんはどうしたいのかもすごく気になっていて。トップとしてバリバリやってきたけど、そんなに突出したところがなかったキャラクターだと思うんだけど。ここにきて一番重要なところに躍り出たのでは?という感じがしてる」
美樹「カッコいいですよね。あれだけみんなイドの世界に入り込んでいながら、唯一、現実世界で何かできる人というのが。まさかこういう活躍をしてくるとは」
たま「飛鳥井木記とは縁付きであったりするんですかね。すごく、肩入れの仕方が不思議な気がして。百貴船太郎という名前じゃないですか。これは結構邪推なんですけど、12話のタイトル『CHANNELED(※)』のchannelは元々運河が語源らしいので、水に連なる名前を持っているのはちょっと怪しいなと思って」
小宮「YouTubeの方でも、細谷さんが、結構このキャラクターは不安定というか、一番波があるキャラクターと思って演じているという話をしていて。その辺も後ろにつながっていくのかなと思ったりするんですけど」
たま「今のところ、そんな激しく波立っている印象はなくて、当たり前の人の心の動きをしている普通の人だから、じゃあいったい彼は何を隠し持っているんだろうという、内側がすごく気になっている」
美樹「実は一番謎だった利、そこが答えにつながったり、というキャラクターかもしれないですね」
たま「だいぶ謎が解き明かされたと思っていたのに、まだ全然わからないことがいっぱいあるのがすごく不思議だなあ」

※channel(動)~に運河を掘る、〔~を良い方向へ〕導く、向かわせる

いよいよ最終回、どんな決着がつくのでしょうか。まだご覧になっていない方は一気見がおススメです!

(笠井美史乃)

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