プロがガチで作ったインディーズのオリジナルアニメ『Under the Dog』がすごかった – 完成記念試写会レポート

2014年9月、そこあに増刊号でひとつのプロジェクトを取材しました。ご記憶の方もいらっしゃるでしょうか。こちらです。

そこあに増刊号「Under the Dog」特集 vol.19
今回のそこあに増刊号は、安藤真裕監督、イシイジロウ脚本で企画進行中の作品、『Under the Dog』の特集です。『Under the Dog』は、アメリカのクラウドファンディングサイトKickstarterで製作費を募り、安藤監督やイシ...

米国のクラウドファンディングキックスターターにて始まった、オリジナルアニメ製作プロジェクト『Under the Dog』。原作・脚本のイシイジロウさんと、安藤真裕監督をお迎えしてのインタビューをお届けしました。

取材時点ではギリギリ目標に届くか?というところでしたが、最終的にはそれを大きく上回る出資を集めることができ、製作プロジェクトが動き始めることに。そしてこの8月1日、ついにバッカーのみなさんへの配信が始まることになりました。

これに先駆け、7月27日に都内のシアターで試写会が行われました。会場には海外からのバッカーも多数来場し、英語通訳を交えてのイベントとなりました。

■本気だ! プロ集団が作りたい作品を全力で作った

Under the Dog Trailer (APR 2016) from Under The Dog on Vimeo.

このプロジェクトで制作されたのは30分の映像が1本。イシイさんが1997年に企画したテレビ向け企画26話分の設定とプロットをもとに作られました。

とある事情から暗殺者組織「フラワーズ」に所属し、任務を果たさなくてはならない女子高生。本当は殺したくない、自分も死にたくない、でもやらなくては家族が殺される。そんな極限状態におかれた彼女たちが戦う敵とは……。

オリジナルのガンアクションもの、30分という尺でどうなるの? と思っていました。正直。すみません。しかしそれは冒頭の主人公・ハナのモノローグから一気に覆され、その後は説明を最小限にしながらも情報量てんこ盛りの怒涛の展開。ハナたちの任務って? 敵対しているのは? そこでアンシア降ってきたーー?! と、たっぷり映画1本分はある濃厚さに脳が酸欠です。

そして何といってもアクション! 女子高生のガンアクションて『ストレンヂア』と真逆の華やかさじゃない? と思いきや、いやいや重い! 銃器の重さ、反動の重さ、身体の重さがずっしり伝わる骨太アクションはさすがです。そこに謎の生物や米軍の巡航ミサイルまで出てきて、吹っ飛ぶものの質・量ともに大変なことに……。

特濃の30分間、すごいもの見ちゃいました。インディーズらしく好きなだけやっている感じが、一周回ってハリウッドの娯楽アクション大作レベルに達しています。

■インディーズでなくてはできないフィルム

上映後に行われた舞台挨拶には、キネマシトラス 代表取締役 小笠原宗紀さん、原作・脚本のイシイジロウさん、音楽を担当したケビン・ペンキンさん、プロデューサーの森本浩二さん、そしてバッカーのキャスティング投票で選ばれた、さゆり役の高橋春香さん、エステラ役の大空直美さんです。

バッカーへの配信開始を前に最後の調整中のため欠席された安藤真裕監督からは、バッカーと制作スタッフへの感謝と「2年間完成を待った価値があったことを証明できていれば」というメッセージが伝えられました。

イシイさん「インディーズならではの作品を目指して出発しましたが、安藤監督のフィルムはその約束を守り、インディーズでなくてはできない、本当のオリジナルのアニメーションになりました」

ケビン・ペンキンさん「参加した当初は映像が全くない段階で、設定や脚本を基に安藤監督とシーンの意図について詳しく相談をして、どんな音楽にするか決めていきました」

大空さん「名前を明かさず声だけを聞いて投票で選んでもらえたことが、役者としてとても嬉しかったです。エステラのような大人っぽいキャラクターは初めてだったのですが、これからまた活躍する機会があればいいなと思っています」

高橋さん「私も、声優をやる中で初めて出会うタイプの役だったので、挑戦する気持ちが大きかったです。素敵な役に出会わせてくれた皆さまに、本当に感謝しています」

小笠原さん「安藤監督以下、何百人というスタッフがいてこの作品ができています。機会があれば監督から直接お礼を言える場を作りたいと考えています」

森本さん「ようやくフィルムが仕上がりましたが、プロジェクトとしてはまだ完結していません。お待たせしているリワード(バッカーに提供されるグッズやBlu-ray)の発送も含め、最後までがんばりますので応援をよろしくお願いします」

『Under the Dog #0』とある通り、ここで描かれたのはまだ序章に過ぎません。イシイさんからは「皆さんの応援があれば、この先がフィルムになる可能性があるかもしれません」という発言も! ぜひ今後の展開があることを期待したいですね。

今のところ、配信が提供されるのはバッカーのみ。バッカー以外の方は公式サイトの「ストア」からディスクメディアの予約が可能となっています。ただ、プロジェクトではより多くの方にお届けできる方法を検討中とのこと。見たい方はぜひSNSなどで応援の声を上げましょう!

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(左から)イシイジロウさん、小笠原宗紀さん、大空直美さん、高橋春香さん、ケビン・ペンキンさん、森本浩二さん

まずはスタッフ・キャストの皆さま、バッカーの皆さま、完成おめでとうございました!

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「Under the Dog #0」より

■関連リンク
「Under the Dog」公式サイト http://under-the-dog.com/ja/

© 2014 Jiro Ishii © 2014 Yusuke Kozaki © 2015 Under the Dog, LLC

(記事 笠井美史乃)

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