残った疑問、わかりました? 答え合わせをしたくなる そこ☆あに『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』特集まとめ

今週は、現在劇場公開中『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』特集です。番組の予定を急遽変更してまで「今語っておきたい!」と思わせた作品の魅力とは? SF的にハードな設定を敷きつつ、物語をダイナミックに動かしていくのは少年たちの真っ直ぐな気持ちであり、一途だけど複雑な大人の思いであり。そして驚きのどんでん返しへ…。みなさん、答え合わせはできましたか?

そこあに「HELLO WORLD(ハロー・ワールド)」特集 #602
「そこ☆あに」602回目は『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』特集です。 「お前は今日から三か月後、一行瑠璃と恋人同士になる」 京都に暮らす内気な男子高校生・直実の前に、10年後の未来から来た自分を名乗る青年・ナオミが突然現れる。...

番組冒頭から16:30までは予告編以上のネタバレなしの内容になっています。ぜひ劇場でご覧になってから続きをお聞きください。また、作品を見て意味がよくわからなかったという方も、聞けば最後の状況が理解できるかもしれませんよ。

※このページの記事はネタバレなしでお届けします。

■中年に刺さるノスタルジー、でも中高生に見て欲しいSF
くむ「ここ最近の王道じゃないですけど、『君の名は。』以降の作品だという感じは受けていたので。どこまでのものを見せてもらえるのかな、くらいには思っていたんですけど。青春SFジュヴナイル、いろんなものがあると思うんですが、あの頃を思い出しました。」
たま「私も、高校生くらいの時に読んですごく感動したSF小説のこととかを思い出して、グッと来ちゃいました」
くむ「結構ノスタルジーなのかなとも思うし。でも、すごく子供達に見て欲しいアニメなんだろうなとも思ったんですよ」
たま「彼らと同世代の人のにこそ見て欲しいですよね」
くむ「うん。ここ最近、そういう作品多いよね。もちろん、中年にこそ刺さる作品だとは思うんです。だと思うんだけど、こういう作品を今の若い子たちに見て欲しいって思うような」
たま「わかります。これはかなり幸福な出会いになる作品だと思うんですよね。この年頃に見たらずっと残るような作品だと思います」
くむ「良きSF少年・少女になって欲しい、そういうきっかけになって欲しいなと思います。今年は本当に良作のSFアニメが多いから。こういう時に引っかかって、将来作る側に回ってくれたりしたら面白いなとも思いますし。最近のアニメ化される作品て、どうしてもなろう系が多かったりするじゃない」
たま「流行りですからね」
くむ「売れているというのも実際あるだろうし。でもそういう中で、こういうタイプの作品がオリジナル作品として生まれていくというのは、本当にいい時代だなと」

■たくさんの疑問をくれる物語、副読本として小説がオススメ!
くむ「この作品、見終わった後に、疑問点がいっぱい出ませんでした?」
たま「そうですね。だいたいこういうことじゃないかな、という予測はつけたんですけど。答え合わせがしたいなっていう気持ちでした」
米林「私は、こういうことなんだと理解して、ホクホクして家に帰ったんですけど。その後やっぱり、ん?あれってどうだったんだろう…みたいなところもありました」
くむ「この作品、この世界はラスト1秒でひっくり返るというキャッチコピーが付いているんですけれども。まあ最後に、おお!というシーンは来ますよね。で、そこで、妙に納得できる人もいると思うし、え、何が起こったの?と思ったままエンディングに突入してしまう人もいると思うんですよ」
米林「そうですねえ」
くむ「あとは、こういうタイプのSFの見方に慣れている人、いない人。それによっても感じ方は変わってくるのかなと思うんですけど。コメントにもいただきましたが『HELLO WORLD if ――勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする』、この小説を読んでください」
たま「これ、映画を見た後に、小説という順番で是非読んで欲しいやつですよね」
くむ「映画の疑問はほぼほぼこの小説でクリアになります。なので、多分それが正しい見方なんだとは思うんですけど。逆に、小説を先に読んで、内容を分かった上で、劇場に行くというのも、もしかしたらアリなのかなと思うんですよ。時系列的にはこの勘解由小路美鈴のお話の方が先にスタートしてます。なので、そういう物語があったと理解した上で映画を見るというのも、もしかしたら楽しいのかもしれない」

■過去の作品の積み重ねがあったからできた、今の時代のSF
くむ「パンフレットのインタビューに、参考にした作品集が載っているんですけど。インタビューの中でも『ゼーガペイン』の話題が出ていますし、同じ時代だと『電脳コイル』なんかも入っていました。だって量子サーバに入っているわけでしょ。その中で動く世界でしょ。これはゼーガペインでしょう、やはり」
たま「ゼーガですね。私も見ている時、ゼーガ!って思ってました」
くむ「しかもこの世界は容量が無限にあるの、素晴らしいね」
たま「やっぱ容量って大事なんですよ、無尽蔵のやつと交換しましょう、ゼーガの方も」
くむ「やっと夏休みから先に進めるとか、やっと冬まで行けるとか、そんな世界じゃなく。ずっと行けるわけでしょ、この世界」
たま「だからこそナオミ先生は苦しんだという説も、無きにしもあらずですけど」
くむ「確かにね。いろんなオマージュというか、たくさんのSF的要素が組み合わさって、今こういう形で見せてくれる。今の時代だからこそできる物語として成立しているのかなというところがね」
たま「そうですよね、挙げられた参考作品の上に積み重なってできてきたものだから。確かに”今”の作品なんですよね」

手の届くところから始まって、すごく遠くまで連れて行ってくれる。仕掛けとストーリーがうまく噛み合った、SFの魅力が詰め込まれた作品でした。こうした意欲的なオリジナル作品を劇場で見られるのは、嬉しい流れですね。良い作品をどんどん応援していきたいと思います。

(笠井美史乃)

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