子供に見せたい&大人が見たい、グッと刺さる妖怪の言葉 そこ☆あに『ゲゲゲの鬼太郎』特集まとめ

今週の特集はなんと、ニチアサから『ゲゲゲの鬼太郎』(第6期)です。4月の放送開始から評判はこぼれ聞いていましたが、視聴してみたら思った以上に大人向け! 過去のぼんやりした記憶で「あんな感じだったよね」と油断していると、意外なエグさにグサリと刺されるかも…。豪華声優陣演じるキャラの魅力、アクションのカッコよさも見逃せない、見応えある作品です。

そこあに「ゲゲゲの鬼太郎(第6期)」 #536
「そこ☆あに」536回目は現在放送中『ゲゲゲの鬼太郎』特集です。 原作は水木しげるによる1965年にスタートした漫画。TVアニメは第1期が1968年から、その後2007年放送開始の第5期まで約10年おきに新シリーズが製作されている長寿作品で...

■テーマの深さと手抜きのなさ、しかもちゃんと怖い
くむ「子供に見せながら、子供の後ろにいる親に一緒に見てください、というのがすごく伝わってくるなと」
美樹「むしろ大人じゃない?と思うくらい」
くむ「いただいたコメントにもありましたけど、本当に現代の闇をいっぱい描いていますよ」
美樹「そうですねえ。毎日見るニュースとかで、この事件こないだ鬼太郎になかったか?みたいに思いますよね。社会風刺というか」
くむ「社会風刺も、行きすぎると物語として破綻しかねないものってやっぱりあると思うんですよね。そこを、鬼太郎という設定をうまく利用したおかげで、まあ妖怪のせいだから、ということで話をキレイにまとめて。しかも1話完結じゃないですか。だから非常に見やすい、引きずらないで済むようになっているというところは、本当に脚本の妙みたいなものを感じます」
美樹「そうですよね。オープニングに入る前にちょっとストーリーに入る前段階みたいなところがあるじゃないですか。そこで何となくこういう話かなと予想していると、結末ですごい裏切られるんですよ。この面白さが毎話あって。これ全然子供向けじゃないと思いましたよ」
くむ「でもね、多分子供は子供で楽しめるんじゃないのかなと思うわけですよ。だってこれ、怖いじゃん、ちゃんと」
美樹「そうなんですよ!そこがいいんですよね」

■沢城みゆきさん演じる今時の鬼太郎、周囲も名優ぞろい!
美樹「鬼太郎の立場って難しいですからね。妖怪であって、でも人間の完全な味方でもないじゃないですか。うまく優しさとクールさの間を演じているなという感じはありますね」
くむ「熱血漢ではちょっと鬼太郎らしくない感じがしますもんね、特にこの作品では。目玉おやじは野沢雅子さんが演じていて、これはどうなんだろうと最初思っていたんですけど。だって前は鬼太郎やっていたわけだからね」
美樹「初代鬼太郎ですもんね!」
くむ「でもね、めちゃ目玉おやじですよね」
美樹「なんの違和感もなかったですよ」
くむ「砂かけ婆は田中真弓さんですからね。いやあ、いいなあ。ていうか、大御所ばっかですよ。みなさんうまい!」
美樹「そうですよね。安定」
くむ「それに今回初登板の古川登志夫さんのねずみ男ですよ。こんなゲスだったっけ、っていうね(笑)」
美樹「ちょっと、逆にねずみ男の好感が上がるくらい、現代への馴染み方というか。このずるがしこさって、どの時代に来ても生きていけるんだなっていう」

■各話ごとに人の心を刺すトゲ、その痛さと怖さが面白い
くむ「2話のアイドル電池組のお話ではコンサートで5万人が霊界送りにされますけども、現実にも年間8万人行方不明になったって人間は他人のことは気にしていないという、すごく人間にとってキッツイ言葉があるわけですよね」
美樹「ぐさっとくる言葉を妖怪の立場で言ってきますよね」
くむ「だから、妖怪よりも人間の方が実際は怖いんじゃないかというのが、テーマとしてありますよね、この作品は」
美樹「ありますあります。幽霊とか妖怪とかホラー系の作品て、実は人間の方が怖いんだよっていうのを見せられるところが面白いなと思っていて。それが一番出ていたのが、第7話の幽霊電車だったかなと」
くむ「あれはヤバかったね…」
美樹「あれがすごい好きで! 冒頭、電車にひかれる酔っ払いを写メってしまうシーンから、まさかこんな話に繋がってくるとはという、裏切られた感がある話だったので」
くむ「あれは脚本がうまかったね」
美樹「本当に面白いなと思って。恐ろしさもありましたね」

毎回、脚本も作画も相当のクォリティで放送されているのが本当にすごいですね。この先まだまだ3クール。一体、どんな妖怪がこの現代を荒らしていくのか楽しみです。そして、今シリーズのラスボスなのか? 「名無し」の動向も気になります。ほとんどが1話完結なので、今から見てもきっと楽しめると思いますよ!

(笠井美史乃)

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