成長するたび、幸せを祈らずにいられない そこ☆あに『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』特集まとめ

今週の特集は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』です。過去の京アニ作品を凌ぐ素晴らしいクオリティで、注目度も上昇中。原作から大きく構成を変え、最初は重いシーンも続いていましたが、いろいろなキャラクターの目線を通じて、徐々にヴァイオレットの成長が見えるようになってきました。次の話数では、どんな表情を見せてくれるのでしょうか。

そこあに「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」 #518
「そこ☆あに」518回目は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』特集です。 原作はKAエスマ文庫より刊行 暁佳奈によるライトノベル。 感情を持たない一人の少女ヴァイオレット・エヴァーガーデン、戦火の中で大切な人から告げられた「愛している」とい...

■話数を重ねて、どんどんクオリティが上がってる?!
くむ「最新6話まで見た後に、もう1回1話を見直していたんですが、これ、1話よりも5話6話の方がすごくないかと思って」
美樹「全体的な構成を通しても、気合いが違うなっていうのが。だって、普通のオープニングとエンディングが出て来たの3話だったじゃないですか。1、2話とか、ほぼストーリーを重視して、音楽も専用でついていたし。なんか違うなと思いましたね。個人的には各話タイトルを最後に誰がセリフでいうのか、というところもすごく好きなので、その辺も構成が凝っているなという感じがします」
くむ「なかなか、ここまでこだわってというのは、どこもやりたいけどできないことだったりすると思うんですよね」
たま「自社で作れる環境が全部そろっているからこそできることだとも思うんですよね」
くむ「それにしてもですよ。劇場クオリティと言っていいものを、毎話出して来ている京アニのすごさには驚きますよね」

■4話と5話の間、ヴァイオレットに何が起きたのか
たま「あの間、数ヶ月間あったと言っていましたよね。それだけの期間内でめちゃくちゃいろんな文献とかを当たって、平均的に恋文とはこう書くものだということをめっちゃ勉強したんじゃないかと思うんですよ。そういう意味では、心から出た文章というよりは、美しいとされている文章の集合体、という感じになっていたんじゃないですかね」
くむ「なるほどねえ。自動手記人形というお仕事、彼女たちはそう呼ばれているわけだけど。まさに、我々が一般的にイメージするような自動手記“人形”のようなお仕事をしたんじゃない? 自動的に紡がれる、AIの文章みたいな感じだよね」
たま「だから自動手記人形の本質であるところの、本当の気持ちを文面に起こすという仕事はしていなんだと思います。それができなかったからこそ、本人(王女)に委ねたわけですよね」
くむ「そうできるようになったことが、彼女の成長だよね」
たま「てことですよね。それは自分じゃダメだというのをわかったというのが、彼女のあの時点での成長ぶりなんだと思います」

■戦争も過去も、乗り越えていってほしい
くむ「5話Cパートのギルベルトの兄・ディートフリート、急に現れてヴァイオレットの過去の話。これ不穏でしょ、どう考えても」
美樹「第6話の冒頭で、なんとなくヴァイオレット元気ないよね、みたいなことを周りのドールに言われていたところが、うまく5話の最後とつなげてきているのかなと思わせる感はありましたね」
くむ「でも、それで何を言われたのかは6話までの中では描かれていないわけだよね」
たま「逆に、ちょっと落ち込んだくらいの感じで済んでいたのであれば、致命的な話はされていないんだろうなという気はしません?」
くむ「彼女が一番落ち込むというか、自分を保てなくなりそうなのは、ギルベルトが亡くなったという話だと思うんですよね。少なくともその話をされたわけではないだろうと。時系列順であれば」
たま「うん」
くむ「この辺りの話は、最終話までには必ず描かれることになるんだろうと思いますので。こちらの軸は軸で、楽しんでいいのか、ちょっと怖い話になるのか、結末を見届けたい感じはありますね」
たま「私はね、この話、やっぱり最後まで不穏な感じにいかずに、愛の話で終わるんじゃないかなと思っているんですよ。なんでかというと、ヴァイオレットの名前をスミレの花からとったじゃないですか。紫のスミレの花言葉って“愛情”というのがあるんですよ。もう最初からそこに愛はあったんだな、と。終始一貫、その話だけで綺麗にまとまるんじゃないかと、ちょっと信じているのがあって。だからきっとヴァイオレットちゃんが幸せになる話なんだよ。そうに違いない!」

時折チラつく戦争の影や、ヴァイオレットが背負う過去を織り交ぜつつも、さまざまな人と触れ合うことでますます浮き彫りになっていく彼女の想い。一番の大きなテーマがどんな形で着地するのか、非常に楽しみな作品です。

(笠井美史乃)

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