さよなら間野山、また会いたいね! そこ☆あに『サクラクエスト』特集Part2まとめ

今週の特集は9月に最終回を迎えた『サクラクエスト』特集Part2です。『花咲くいろは』『SHIROBAKO』に続くP.A.WORKS のお仕事アニメではありますが、仕事の話にとどまらず、人・街・歴史や文化、そして生き方まで、様々な人間模様が描かれました。2クールを効果的に使い切った構成が素晴らしく、またキャラクターも一人ひとりの魅力がじわじわと……ということで、がっつり語りたかったんですー! という想いの詰まった回になっています。

そこあに「サクラクエスト」Part2 #501
「そこ☆あに」501回目は『サクラクエスト』特集Part2です。 P.A.WORKS制作「花咲くいろは」「SHIROBAKO」に続く“お仕事シリーズ第3弾”として2017年4月スタートしたオリジナルアニメ作品。前回第15話「国王の帰還」まで...

■お仕事シリーズ3作目は、ビッグなプロジェクト
くむ「今までのお仕事シリーズはその仕事そのものに特に集中しているような感じがあって。それはそれで面白かったんだけども、この作品は街おこし、というよりも街全体の大きなお話、しかも全員が全て同じ仕事をしているわけではないので。そういう意味で女性への応援歌みたいなストーリーになっているかなという気がしたんですよね」
美樹「必ず、自分もこの子にちょっと投影できるな、というキャラクターがいますからね。職業とかが違っても、どこかかぶる部分があって。私も本当に共感するところがあったので。田舎から出てきたわけじゃないけど、すごくわかるっていう気持ちはありましたね。学生とかこれから働く人にもいいし。逆に、仕事していて若干疲れている人にもオススメしたいし。お仕事に関わっている人みんなに伝えたい作品ですね」
くむ「“お仕事”のシリーズではあるかもしれないけれども、一つまた新しい、もっと“大きなお仕事”っていう感じの物語ができたんじゃないのかなっていう気がしました」

■1年かけて付き合ったみんなが愛おしい
くむ「1話の段階の由乃は、確かにあれじゃ落ちるよね、という由乃なわけだよね。多分、この子には何もないと思われたわけでしょう。どこでもいいから入れたらいいんでしょ、と取られたわけだよね。だからずっと落ち続けていた」
美樹「そうですね、漠然と特別になりたいっていうだけでしたからね」
くむ「就職して東京にいたい、というだけでしょ。だから彼女は落とされ続けていた。まあ、実際その後の彼女の活躍を見れば、そこまで落とされるほどかという感じはするけどね(笑)」
美樹「確かに(笑)」
くむ「でも面接官がどう思うかはまた別の問題だから、運悪く彼女の悪い部分ばかりが出ていたということだよね。いい要素は持っていたはず。それが結果的に、今回の1年の成長として現れていくわけで。でも、最初の由乃を見て、キャラクター的に好きになれるのかといったら……まあ1話から好きになれるキャラクターがなかなかいないのがこの作品の特徴じゃありません?」
美樹「確かに、最初はそんなにみんな好きじゃなかったのに(笑)。今、全員好きなの! なんなんだ、すごいっすね!」

■個人の成長が、物語に、町の変化につながっている
くむ「ストーリーが進むうちに、一人一人を掘り下げて成長を描いているんだけど、丑松と千登勢とドクの、若い頃の話が出てくるなんて想像もしないじゃない。しかも、いわゆる田舎が嫌だった彼らの物語であるわけでしょ。普通じゃないものになりたかったわけですよ、彼らだって高校生の頃は。あの話…泣けてさあ」
美樹「そうですねえ。でもあそこから桜池、みずち祭りにつながっていくので。本当に物語が秀逸というか、意味のない話が全くないということがすごいですよね」
小宮「前半の千登勢さんてすごく厳しい人なのかなっていうイメージがあったんですけど、優しさがこういう厳しさになっているんだなっていうのをすごく実感して。あそこでグッとキャラクターも深くなりましたし、今までのお当番回が生きてくるような。お当番回の続きのはずなのに、それがまた街の話になっていくのがすごいなと思ってました」
くむ「キャラクターがちゃんと生きているんだよね。そういう人だからこうだったんだ、みたいなところが描かれていたのを、最後まで見ていくとわかるっていうのが上手いなと」
美樹「本当に、誰一人成長しなかった人がいないですからね。登場人物みんなが心動かされて、何かが変わっていて」

Part1の時にも語っていた名作の予感、しかしそれを上回る大きな感動をくれた物語。1年という国王の任期の終了が物語のエンドでもありましたが、彼女たちにとっては新たなクエストのスタートでもありました。ファンとしてはその後のクエストの行方もちょっと見てみたい、その後の間野山にも訪れてみたい……。希望ある最終回を経てなお、別れの名残惜しい作品でした。

(記事 笠井美史乃)

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