初心者には優しくない? でもそれがエウレカらしさ! 『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』完成披露試写会レポート

9月16日より全国ロードショーとなる映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』。その完成披露試写会が5日、都内の劇場にて行われました。上映を前に行われた舞台挨拶の模様をレポートします。ステージに登壇したのは、レントン役の三瓶由布子さん、エウレカ役の名塚佳織さん、そして京田知己総監督です。

ステージに立った三瓶さん、ご挨拶の第一声は「レントン・サーストン、ではなく、レントン・ビームス役の三瓶由布子です」。実は今作で、レントンはあのビームス夫妻の養子として育てられているんです。テレビシリーズのエピソードを織り込みつつ、スタート地点から違う物語が始まります。

12年ぶりにキャストのそろったアフレコでは、懐かしさのせいかブースの外で笑いが起きていたそう。映画やゲームを挟んではいますが、12年経って新たに同じ役を演じてみて、キャストの方はどう感じたのでしょうか。

三瓶「12年前に演じたシーンも含めて、改めて映画として再構成されているので、自分への挑戦、というわけじゃないのですが……当時19、20歳だった自分がどんな風に演じたかも考えつつ、2017年のエウレカセブンを2017年の私が演じるということで。それがみなさんの目にどう映るかが何より楽しみです」
名塚「やっぱり12年も経つと声質も歳を取り、経験するものが増えてくるとどうしてもそれが芝居に乗ってしまうことがあって。当時はとにかく一生懸命やっていればよかったものが、それだけでは当時の感覚と違っていたりだとか。そういうのを思い出していく作業もやっていたので、幸せな1日でしたけど長く感じました」


レントン・ビームス役 三瓶由布子さん


エウレカ役 名塚佳織さん

テレビシリーズ当時と比べてアニメの制作環境も大きく変わりましたが、京田監督がこだわったのは「手描きのロボットアクションシーン」。相当に贅沢な映像が期待できそうです。

京田「手描きロボットアニメのアクションとしてはなかなか見ることができない描写と尺です。特技監督の村木靖さんはじめ、メカチームが本当に頑張ってくれました。30分間の戦闘シーンを作ることを目標にして、そこはうまくいけたと思います」


京田知己総監督

また先日、レントンの父親であり、世界を救った英雄であるアドロック・サーストンを古谷徹さんが演じられることが発表されました。残念ながら共演の機会がなかったという三瓶さんですが、試写を見たときに一言目から「アドロックがいる」と実感したそうです。

三瓶「戦っているアドロックを見て涙が止まらなくなって。それは、レントンがそうなのか自分が感動しているのか、よくわからなかったんですけど、それくらい、古谷さんの演じるアドロックの熱を感じることができました」

今作は、レントンと同じく伝説的な人物を父親に持つ尾崎裕哉さんが主題歌を務めることも話題になっています。ふさわしい人を探して監督がずっと悩んでいた時に、偶然iTunesを開いたところ、最初に尾崎さんのバナーが表示されたことがきっかけだったと言います。

京田「どんな感じか聞いてみようと試聴してみて、その段階で『ああ、ここに居た』と。尾崎さんだからというよりも、流れている曲と声と雰囲気が、今回の僕らがやろうとすることに一番マッチするだろうと思ったんです」

ここで、ステージにはシークレットゲストとして尾崎裕哉さんが登場。大きな拍手で迎えられました。主題歌を作るにあたってテレビシリーズと映画のコンテを見たという尾崎さん。作品の中で繰り返されたフレーズが、今作の主題歌「Glory Days」の誕生につながりました。

尾崎「『ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん』という言葉がすごく響いたんです。自分の信条の一つが、自分の人生の責任は自分しか負うことができない、です。だから勝ち取らなくてはいけない。偉大な父親を持って期待を背負うことだったり、それを乗り越えようとしてがむしゃらにならざるを得なかったり。一生懸命な姿勢、そういうものを描けたらいいなと。そのメッセージを、勢いある音楽に乗せてこの作品に添えられたらと思いました」


主題歌を歌う尾崎裕哉さん

最後に、三瓶さんが会場に向かって「12年前にテレビシリーズを見ていた方、いらっしゃいますか」とたずねると、観客の大多数が挙手。これには三瓶さんも「泣きそう…!」と、長年のファンの思いを改めて実感している様子でした。

三瓶「初心者には優しくないところもあるかと思いますが(会場笑い)、今回も、ロボットはもちろん、ストーリーもとってもスピーディで、ああエウレカセブンだな、と思っていただける作品になっています。音も絵も声も、全て体感するように楽しんでいただけたらと思います。期待してください」

名塚「12年の時を経て、劇場版という形でこの作品をやらせていただけるのを、本当に嬉しく思います。それも、ずっと応援してくださった皆さまのおかげだと思っています。自信を持ってお届けできるものに仕上がっていますので、ぜひ最後まで楽しんでいってください」

尾崎「たくさんのファンの方が駆けつける、偉大な映画に携わることができて光栄です。新しい『エウレカセブン』の始まりだと思っているので、ぜひその新世界を楽しんでください」

京田「ここに至るまでに、今回こそダメかと思うことが何度もありましたが、スタッフ、キャストの皆さんが頑張って全力を尽くしてくれたおかげでたどり着くことができました。正直なところ、頭の中はもう『2』のことでいっぱいで、現場のスタッフも『2』へ走り始めています。1本でも楽しめるようになっていますが、続けて見るとさらに深く、かつ、もっと面白くなると思います。まずは1本目を楽しんでいただけると嬉しいです。今日はありがとうございました」

12年の時を経て今も鮮烈な印象を残す「エウレカセブン」が、2017年という時代に何を描いてくれるのか。ぜひ公開を楽しみに待ちたいと思います。

■交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 公式サイト http://eurekaseven.jp

<公開情報>
『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』
2017年9月16日(土)全国ロードショー
(C)2017 BONES/Project EUREKA MOVIE
配給:ショウゲート

(記事 笠井美史乃)

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